桜の花・梨の木から酵母、クラフトビール開発
2018年04月17日 08時24分
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20180416-OYT1T50016.html

 鳥取大大学院連合農学研究科の児玉基一朗教授の研究グループが、鳥取の桜の花や二十世紀梨の親木から抽出した酵母を使って、クラフトビールを開発した。
 今後は、県内外の企業と連携して商品化を目指す。児玉教授は「鳥取ならではの酵母を使って、地域に産業を生み、活性化につなげたい」としている。
 開発したクラフトビールは2種類。「サクラ・サワーエール」は、鳥取市鹿野町の鹿野城跡公園に咲くソメイヨシノの花から抽出した酵母を使った。爽やかな酸味があり、苦みは控えめ。すっきりとした飲み口で、カクテルのように楽しめる。鳥取市桂見の森林公園「とっとり出合いの森」にある二十世紀梨の親木の葉の酵母を使用した「二十世紀梨エール」は、深みのあるコクと甘い味わいが特徴だ。
 「鳥取ならではの物語がある酵母を使って、地域活性化につながる商品が作りたい」と、児玉教授らは約4年前から、ビールの開発を計画。県内各地の桜や、鳥取市鹿野町の大イチョウ、大山のふもとに群生するカエデなどの素材を対象に、酵母の抽出や遺伝子解析を行ってきた。発酵の進み具合や、味や香りの仕上がり具合から、最終的に2種類の酵母に絞られたという。
 3月30日に、同大学で開かれた成果報告会には、学生や共同研究者計約20人が参加。2種類のビールを試飲した参加者からは「飲みごたえがある」「甘くておいしい」などと好評だった。同大学大学院1年の小林大起さん(23)は「普段飲んでいるビールとはひと味違って癖になる。鳥取の味にふさわしいと思う」と話した。
 研究グループは今後、島根県江津市の酒造会社「石見麦酒」や、鳥取市鹿野町で地域住民らが起業した「アカリ・ブリューイング」などに酵母を提供し、2種類のビールの商品化を進めてもらう。児玉教授は「これからも新しい酵母を探し続けて、ビールの種類も増やしていきたい」と話している。(河合修平)