■26歳〜39歳が気をつけないといけない理由

はしかは2回の予防接種を受けることで、ほぼ完全に防げる病気。なのに、なぜ日本では流行が起きるのか。ワクチン接種が行き届いない世代があるためだ。

「いまの26歳〜39歳は当時の国の方針で、1度しかワクチンを受ける機会がなかった。しかも、やっかいなことに1度の接種ですら、受け漏らしている人がいる」

「接種0回は大問題。1度のワクチンで、抗体がつく人がほとんどなのですが、中には、十分につかない人もいるし、接種を忘れる人もいます。それが誰にあたるのかが、わからない。
しかも、年齢を重ねるごとに抗体が弱ってきます。個人差はありますが、2度目の接種を受けることが望ましいのは間違いないのです」

2度の予防接種を本当に受けている?

自分が2度の接種を受けたかどうか、確認する方法はあるのか。

「まず自分の母子手帳を確認する。流行期でないときは、各自治体や病院でやっている抗体検査で確認ができます。流行期は抗体検査の結果を待っている間に感染する可能性もあるので、すぐにワクチンを打つことも一つの手段です。

これは26歳〜39歳に限った話ではありません。その上の世代、下の世代でも確認すべきことです」

■「ただし、自分で進んで行く人ばかりではありません」

そして、いざ、予防接種を受けようと思っても課題は多い。

「ワクチンのストック数も十分とはいえない。過去にも、流行期にはワクチンの在庫が切れたときもある。だからこそ、流行前もしくは、流行の初期段階で対処する必要があるのです」





■それ以外の世代にもいる、2度接種をしていない人たち

26歳以下の世代は、ワクチン接種の方針が代わり2度の接種を受けることが推奨された。もちろん、無料で受けることができる。
しかし、接種はあくまで推奨。親によっては、子供にワクチンを受けさせていないという考えの人、うっかり受けさせるのを忘れていたという人も残っている。

「いまの目標は接種率95%です。ワクチンをどうしても受けたくないという人を0にすることはできませんから。
日本でも2度の接種が推奨され、WHOに2015年に『はしかは排除状態』と認定されました。ワクチン接種を奨励することは、有効な対策なのです」


■はしかが防げない日本で、水際対策?

感染症対策で本当に問われていることは何か。堀さんはこんな事例をあげながら、説明してくれた。

「日本では、新型インフルエンザや、エボラ出血熱やSARSといった感染症が騒がれるたびに水際対策が叫ばれ、社会的に不安が増しますね。これらはワクチンすらない病気です。はしかはワクチンで防げる」

「アメリカでは保育所や小学校、大学に入る際には接種証明書が必要です。(ワクチン接種は)個人だけでなく集団や社会を守るためでもあります」

「ワクチンで完全に防げるはしかを予防できない国で、ワクチンすらない感染症が本当に防げるのか。これこそ、問われるべき課題です」