自衛隊退職者の最大組織「隊友会」(会員約7万2千人)の支部「東京都隊友会」が憲法改正を求める署名活動を行い、その送付先を自衛隊東京地方協力本部としていたことがわかった。同本部の会議室で改憲運動を議論したこともあったという。

 隊友会は公益社団法人で政治活動は禁じられていない。だが現役の自衛隊員は政治活動を制限されており、誤解を招きかねないとの指摘がインターネット上などで出ている。東京都隊友会は署名活動の開始直後に自衛隊東京地本に不適切だと指摘され、送付先を東京・市谷の防衛省の敷地内にある隊友会事務局に変更したという。

 都隊友会によると、同会は2015年5月、改憲団体「日本会議」系の「美しい日本の憲法をつくる東京都民の会」の発起団体に名を連ねた。退職者らに署名を呼びかける用紙を作成した際、送付先を「東京地本予備自衛官課または日本会議」とした。数百枚を配布した可能性があるという。都隊友会の担当者は7日、取材に「事前に自衛隊に相談せずに送付先にしてしまった。うかつだった」と釈明。実際に自衛隊東京地本に届いた署名はなかったという。

 署名活動は退職者や一般の国民向けで、防衛省も「現役隊員は署名の集約に一切、関わっていない」と説明している。ただ同省は「(隊友会など)協力団体に会議室を貸すことはある」としており、ネット上では「民間団体の改憲運動を支援している」などと問題視する声もある。

 隊友会は昨年11月には憲法に国防軍を明記することや軍事裁判所の設置、緊急事態条項の創設などが必要として、憲法改正を求める提言書を小野寺五典防衛相に手渡している。(古城博隆)

2018年5月9日18時12分
朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL574W0CL57UTIL024.html