5月11日 4時57分
1か月前に大分県中津市で起きた土砂崩れについて、専門家が調査した結果、地下水が大量に集まった場所が最初に崩れ、これが引き金になって大規模な崩壊につながった可能性が高いことがわかりました。今回は、大雨も地震もない中で発生しましたが、専門家は、ほかの地域でも同じような土砂崩れが起きるおそれがあるとして、危険性のある場所を洗い出す必要があると指摘しています。
これは、土砂災害の専門家などで作る砂防学会の調査団が先月29日、大分県中津市耶馬溪町の現場を調べた結果、わかったものです。
それによりますと、1か月前に大規模な土砂崩れが起きた斜面の中腹には、1秒間に0.3リットルの量の水が湧き出している地点があったということです。調査団の1人で鹿児島大学の地頭薗隆教授は現場では、調査の数日前から雨は観測されていないことなどから、この場所には周辺から大量の地下水が集まっていたと分析しています。
また、この場所の地盤は、粘土のように軟らかくなっていたことから、地頭薗教授らは、地下水が大量に集まって弱くなった場所が最初に崩れ、これが引き金になって大規模な崩壊につながった可能性が高いとしています。
今回の土砂崩れは、大雨も地震もない中で発生しましたが、地頭薗教授は、全国のほかの地域でも地下水が集まりやすい斜面で同じような土砂崩れが起こる可能性があると指摘していて、「地形や地質の情報だけでなく地下水が集中する場所を洗い出し、危険性を把握する必要がある」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180511/K10011434391_1805110003_1805110457_01_02.jpg