15日に開催された葵祭。京都市内の最高気温が30・4度という真夏日の中、沿道には約5万1千人(府警調べ)が詰め掛け、古都を彩る平安絵巻に魅了された。行列では、斎王代が「平成最後」の大役を務め、念願かなった最年少参加者や姉妹の女官役らが花を添えた。

 ヒロインの第63代斎王代を務めた京都市左京区の会社員、坂下志保さん(23)。「天候にも恵まれ、感謝の気持ちでいっぱいです」と笑顔で語り、腰輿(およよ)に乗り込んだ。

 「ご縁の不思議さ、大切さを感じています」。昭和最後の斎王代だった母の美保さん(55)に続き、平成最後の斎王代として臨んだ。重さ20キロにもなる十二単(じゅうにひとえ)姿に「重くて暑いですが、これも伝統の重みと思ってがんばりたい」と表情を引き締めた。

 「自分のときよりも緊張している」と話す美保さんと、父の隆一さん(62)が手を振って見送ると、うなずき返して京都御所を出発。今季最高の暑さの中で大役を果たした。

 約8キロの道のりを経て午後には上賀茂神社に到着。「御所を出発して下鴨、上賀茂両神社と、神聖な場所で儀式ができ、京都ってすばらしい場所だとさらに誇りに思えた」とほほえんだ。

京都市内で15日に行われた葵祭に食事をつかさどる女官「女嬬(にょじゅ)」として参加した井手町の森島凛(りん)さん(18)、慧(さと)さん(16)姉妹。伝統ある葵祭への姉妹そろっての参加に「とても光栄なこと」と口をそろえた。

 凛さんは古代エジプト文明など歴史や文化に興味があり、「昔から途切れることなく続いてきた葵祭に関心があった。歴史ある行事に恥じないようにしたい」と気を引き締めた。

 高校2年の慧さんは、祭り後にオーストラリアに3カ月間留学することが決まっている。この日、母の恵子さん(52)には「めったにない機会だから楽しんでおいで」と送り出されたといい、「日本の伝統行事に参加できて本当にうれしい。この経験をオーストラリアで話そうと思っています」と笑顔を見せた。

 京都市内で15日に行われた葵祭に童女(わらわめ)役で参加した京都市山科区の小学2年、平野聖(たから)さん(7)は、平成26年に同じく童女役を務めた姉の凛(りん)さん(11)に続く参列となった。

 凛さんの参列を見て「お姉ちゃんの着物姿がきれい。私もやりたい」と話していた聖さん。参列が決まり、凛さんからは「参列中に声をかけられたら笑顔で応えるように」とアドバイスされたという。

 願いがかなった聖さんは今回の最年少参加者。鮮やかな赤の衣装に身を包み、「笑顔で最後まで頑張りたい」とはにかんだ。

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