都道府県が地元ゆかりのタレントらを起用し、観光PRに一役買ってもらう「大使」。県が委嘱する「とちぎ未来大使」はその数が346に上り、関東ではダントツの1位だ。なぜ、こんなに多いのか。(常松鉄雄)

 宇都宮市中央卸売市場の仲卸業者を描いた漫画「八百森のエリー」を大手コミック誌に連載している漫画家の仔鹿(こじか)リナさん(43)が先月23日、「とちぎ未来大使」の委嘱を受けた。

 県庁で福田富一知事から大型の名刺を手渡された仔鹿さん。夫が市場で働いており、作品には県産のイチゴなども登場している。仔鹿さんは「漫画を続けることが一番のPRになると思っている」と抱負を語った。大使の委嘱は4月で346件になった。

 県とちぎブランド戦略室によると、とちぎ未来大使の制度は2009年4月から始まった。県出身者や県ゆかりの人に、栃木を気軽にPRしてもらうのが目的だ。活動では県が作った未来大使の名刺を、あちこちで配ってもらうことが多いという。年に一度、継続の意向は確認するが、期限は決まっていない。

 県にはもともと「とちぎ特使」(01年度開始)と、「とちぎ応援団」(06年度開始)の二つの制度があったが、類似していたため統合して未来大使にした。未来大使はタレントのほか芸術、音楽、財界など様々な分野の人に委嘱。「県に愛着があり、PRしてもらえる人」と対象も幅広い。

 かつての特使や応援団から続ける人もいて、1年目から100人超が選ばれた。その後も県内に勤務した企業の幹部やマスコミ関係者などが、県内を離れても未来大使を続けていることもあり、人数がどんどん膨らんでいったという。

 同室は「テレビに出ている有名人だけという県もあると思うが、栃木県ではできるだけ多くのみなさんに応援してもらいたい。やめてもらうとか、減らそうとかは考えていない」と話す。

 他県の「大使」はどのような状…

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