【エルサレム時事】パレスチナ自治区ガザで、米国の在イスラエル大使館移転に対する抗議デモに参加したパレスチナ人多数が死傷した衝突を受け、原因究明へ各国から独立調査の要求が出ているが、イスラエルや米国は拒否している。

 欧州は調査による責任追及を求め、中東のイスラム諸国からも「ジェノサイド(集団虐殺)だ」(エルドアン・トルコ大統領)と反発がやまない。強硬な態度を崩さない米国やイスラエルとの対立が一段と深まっている。

 ガザで14、15の両日行われたデモで、パレスチナ人の死者は60人以上。イスラエル軍が実弾を発砲して鎮圧を試みたことから犠牲者数が膨らんだ。

 悲惨な事態を受け、イスラエルと敵対する国からは「国際社会が迅速に行動し、イスラエルの首脳らを戦争犯罪者として裁くべきだ」(イラン外務省報道官)と最大級の非難の言葉が浴びせられている。トルコ、南アフリカが駐イスラエル大使を召還する事態にもなった。

 独立調査には、欧州各国が「暴力的な出来事と、流血を伴う違反行為を明らかにできる」(ドイツ)と前向きだ。メイ英首相は15日、「これほど多くの実弾がなぜ使われたかなどを調べるため、独立した透明な調査が早急に必要だ」と強調した。

 しかし、イスラエル軍は、今回のガザでの発砲は「正当防衛だ」と譲らない。ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスのメンバーがデモに乗じ「ガザ北部から防護フェンスを越えて、イスラエル領内への侵入を図った」と訴えている。 

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