東京都心のオフィス街で、野外テントを使った業務スペースを設置する動きが活発化している。東京急行電鉄が16日、東京・渋谷でアウトドアブランドと連携したサービスの体験会を実施したほか、品川や丸の内でも期間限定ながら設置が進む。働き方改革の推進に加え、非日常の環境でイノベーションを誘発する効果も期待され、今後も取り組みが広がりそうだ。

 渋谷駅から徒歩数分の複合ビル「渋谷キャスト」。16日午後1時過ぎ、ビル前広場に集まった会社員らが次々とキャンプ用テントに入った。風通しのいいテント内にはテーブルやホワイトボードが設置され、アイスコーヒーを片手にミーティングが始まった。

 この「キャンピングオフィス」を企画したのは東急とアウトドアブランド「スノーピーク」。2種類のテントで最大12人まで利用可能で、外の空気を吸いながらリラックスした雰囲気で仕事ができる。「貸し会議室」のような利用を想定し、6月から試験運用を開始。課題を整理して8月にも本格サービスを始める。

 スノーピークビジネスソリューションズの村瀬亮社長は「発想力が求められるクリエーターやIT企業社員に体験してほしい」と話す。約1時間のミーティングを終えたアパレルメーカー社員は「壁に囲まれた部屋では出ない意見も飛び出した」と声を弾ませた。

 働き方改革の推進やオフィス機器のモバイル化などを背景に、新たなオフィス環境の導入が進む。経済協力開発機構(OECD)平均を下回る日本の労働生産性の向上も副次的効果として期待されている。

 野外オフィスもこうした流れの延長線上にあり、ビル開発を進める不動産開発事業者などが熱い視線を注ぐ。品川駅近くの複合ビル「品川シーズンテラス」では14日からテントなどを設置。5日間で78組409人の会社員らが利用・予約するなど人気を集める。

 丸の内でも三菱地所などがカフェメニューを楽しめる野外オフィスを25日にオープンする。担当者は「ベンチャーやIT企業を呼び込める環境を作りたい」と話す。(佐久間修志)

渋谷キャストで行われた「キャンピングオフィス」の体験会=16日午後、東京都渋谷区
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2018.5.17 06:12
SankeiBiz
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