http://www3.nhk.or.jp/lnews/kyoto/2014684731.html

05月17日 15時24分
学校などでの深刻ないじめが後を絶たない中、京都市は17日開会した市議会にSNSを活用して児童や生徒たちからいじめなどの悩みの相談に応じる新たな事業のための補正予算案を提出しました。

京都市の5月定例議会が17日開会し、一般会計の総額で1300万円の今年度の補正予算案など30の議案が提出されました。
このうち今年度の補正予算案には、▽SNSを活用して児童や生徒たちからいじめなどの悩みの相談に応じる新たな事業のための経費に1000万円、また、▽児童養護施設を退所した子どもたちの就学支援に300万円が盛り込まれています。
提案理由の説明で、門川市長は「いじめなどに悩む相談を広く受け止めるほか、いじめの未然防止や早期発見に努め、子どもたちが安心して学べるよう取り組んでいきたい」と述べました。

SNSを使って児童や生徒からの悩みの相談に応じる取り組みは、学校などでの深刻ないじめが後を絶たない中、文部科学省が全国の自治体に希望を募り、補助をして行っているもので、府内では京都府も実施を目指しています。
京都市の5月定例議会は、今月31日までの日程で開かれます。

【SNSいじめ相談のねらい】

京都市の新たな取り組みには、学校や家庭では把握できていない児童や生徒のいじめなどの悩みを広く受け止めたいというねらいがあります。
平成28年度に市内の公立の小中学校や高校、それに特別支援学校でアンケートや面談などで確認されたいじめの件数はあわせて2247件でした。

その一方で、市が対応したいじめの相談は、▽センターなどへの窓口が9件、▽電話が153件、▽メールが5件のあわせて167件で、確認された件数の7%にとどまっています。
これは、いじめの相談のために実際に窓口に足を運んだり電話をかけたりするのは子どもたちにとって心理的にもハードルが高いためとみられます。

このためSNSを活用することでこれまで声を上げられなかったSOSに応えようというもので、具体的には、市の教育委員会が無料通話アプリ「LINE」に専用のアカウントを設けて匿名での相談を受け付け、専門的な知識のある職員らが対応することを検討しています。
市は、市議会で議決を経たうえで、ことしの秋をめどに運用を開始したいとしています。
京都市教育委員会生徒指導課の加藤みのり担当課長は、「先生にも言えないし、親にも言いづらいといった子どもたちのさまざまな悩みに対応できるようにしたい」と話しています。