政府は21日、税や保険料で賄う医療、介護など社会保障給付が経済成長率を年2%前後とする基本ケースで2040年度に190兆円になるとの推計を公表した。18年度から6割増え、特に介護は高齢者数の増加で2.4倍の約26兆円に膨らむ。給付全体が経済成長を上回るペースで増え、国内総生産(GDP)に対する比率は18年度より2.5ポイント高い24%となる。制度の持続可能性を保つには、給付と負担の両面からの改革が必要だ。

 推計は同日の経済財政諮問会議で示された。12年の前回推計では、戦後ベビーブームの団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる25年度までを対象とした。今回初めて、その先の40年度まで見通した。65歳以上の人口が4千万人近くとピークに達し、人口のほぼ3人に1人を占める時期だ。

 一方、15〜64歳の生産年齢人口は18年度より約1500万人減り、税や保険料を負担し社会保障制度を支える就業者数も約930万人減る。政府は将来像を示し、改革論議を加速したい考えだ。

 主に年金、医療、介護、子育ての4分野で、高齢者数の増加で介護給付の伸びが2.4倍と最も大きくなる。介護サービスが必要な人の割合は年齢とともに上昇し、85歳を超えると5割を超す。85歳以上の人口は40年に1千万人超と、現在の2倍以上になる見込みだ。

 医療の伸びも大きい。40年度は68兆5千億円の見込みで、18年度に比べ75%増える。それでも推計では技術革新による給付の伸びについて「読み切れていない」(厚生労働省)。再生医療などの保険適用範囲が広がれば、給付はさらに膨らむ。

 現役世代の減少などに伴って自動的に給付を抑える仕組みがある年金は相対的に伸びが小さく、29%増の73兆2千億円。最も額が小さい子ども・子育て関係も66%増の13兆1千億円を見込む。

 現役世代の負担は一段と重くなる。例えば主に大企業の会社員が負担する医療・介護の保険料率は合計で年収の13.9%(労使折半)と、現状より3.2ポイント上昇する。日本の問題は「『高齢者の急増』から『現役世代の急減』へと局面が変化する」(厚労省幹部)。

 高齢化が介護や医療の給付を膨らませるのは確かだが、推計は給付抑制に甘さが残る現状をそのまま試算の前提とした面がある。例えば00年度に創設された介護保険は在宅サービスを受けるのに必要な介護計画の作成が保険で賄われ、利用者の負担がないなど給付の抑制が十分といえない。現役より低い高齢者の医療機関窓口での自己負担の引き上げなど、負担の面からも給付の膨張に歯止めをかける必要がある。

 今回の推計は一定の経済成長や賃金の増加を前提としている。成長率を年1%台から2%台に置く基本ケースで、40年度のGDPは790兆円と18年度より4割増える。だが過去の実績では、00年度以降のGDPが0.7%しか増えなかった半面、GDPに対する社会保障給付の比率は6.8ポイント上昇した。楽観的なシナリオの色彩が濃い。

 社会保障の給付は経済成長を上回るペースで増え続ける見込みで、経済の成長が見込みより低くなれば、1人当たりの負担はより大きくなる。

2018/5/21 17:06
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30760470R20C18A5SHA000/?nf=1

★1が立った時間 2018/05/21(月) 18:06:15.65
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