2018/05/24
ポール・ウッド、BBCニュース(キエフ)
ドナルド・トランプ米大統領の私的顧問弁護士のマイケル・コーエン氏が、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領とトランプ氏の首脳会談を設定する報酬として、少なくとも40万ドル(約4400万円)を秘密裏に受け取っていたことが分かった。この件に深く関与したウクライナ政府の情報筋が、BBCに明らかにした。
情報筋によると、ポロシェンコ大統領の代理人が支払いの手はずを整えた。米国の法律は、外国政府の代理を務める際には登録を義務付けているが、コーエン弁護士はウクライナ政府の代理人登録をしていない。
コーエン弁護士は疑惑を否定している。
米ウクライナ首脳会談は昨年6月、ホワイトハウスで行われた。ポロシェンコ大統領が帰国した直後、ウクライナの腐敗防止局は2016年米大統領選でトランプ陣営の選対本部長を務めたポール・マナフォート被告(2017年10月に資金洗浄罪などで起訴)に対する調査を打ち切っている。
ポロシェンコ政権の諜報機関高官が、大統領のホワイトハウス訪問前に何があったのかを説明した。
この高官によると、ウクライナ政府の正規ロビイストやワシントンのウクライナ大使館では、十分な「首脳会談」の場が用意できなかったため、コーエン氏が起用された。ポロシェンコ氏とトランプ氏がただ単に一緒に写真を撮るだけではない、「会談した」と言えるような状況を確保する必要があった。
高官によると、ポロシェンコ氏は、トランプ氏に接触するための裏ルートが必要だと判断し、元側近に実現するよう指示した。側近は、忠誠心の高いウクライナの国会議員に助けを求めた。
国会議員は同様に、米ニューヨーク州のユダヤ系慈善団体「チャバド・オブ・ポート・ワシントン」に所属する個人的な知り合いを頼った(同団体の広報担当はBBCに、自分たちの関係者は関与していないと明確に否定している)。
こうした人から人へのリレーが最終的に、トランプ氏の弁護士で信頼の厚い仲介者、マイケル・コーエン氏につながった。コーエン氏は40万ドルを受け取ったという。
トランプ氏がこの支払いを知っていたという情報はない。
ウクライナ政府の別の情報筋も同じ内容を確認した。ただし、この人物によるとコーエン氏に支払われた金額の合計は60万ドルだという。
コーエン氏の資産状況を明らかにした米国人弁護士マイケル・アベナッティ氏も、ウクライナからの支払い情報を裏付ける内容を公表している。アベナッティ弁護士は、トランプ大統領との不倫関係を主張して法的手続きを取っているポルノ女優ストーミー・ダニエルズ氏の代理人。
アベナッティ弁護士によると、コーエン氏の銀行が米財務省に提出した「疑わしい取引報告」(不正取引や違法取引が疑われる場合に金融機関が作成し提出する報告書)に、コーエン氏が「ウクライナの利害関係者」から金銭を受け取ったことが記載されている。
(リンク先に続きあり)
(米国取材:スザンヌ・キアンプール)
(英語記事 Trump lawyer 'paid by Ukraine' to arrange White House talks)
ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領(左)は昨年6月、ホワイトハウスでドナルド・トランプ米大統領と会談した
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/8118/production/_101684033_tv042696548.jpg