西南戦争の新史料が久米南町に
06月04日 12時21分
西南戦争で西郷軍と戦った政府軍の兵士が、終戦直後に当時の戦況などを家族に伝えた手紙が久米南町で見つかりました。
専門家は「戦争の最前線にいた一兵士の視点から当時の状況が詳細に記された第一級の資料だ」と話しています。
この手紙は明治10年の西南戦争で政府軍として西郷隆盛率いる薩摩軍などと戦った兵士が戦地から岡山県に住んでいた父親に宛てたもので、父親のやしゃごにあたる久米南町の榊原東一さん(77)が保管していました。
手紙には政府軍が戦いを優位に進めていることや、警視隊や屯田兵など、当時の政府軍の構成、それに、戦っている相手の軍を率いた「西郷隆盛」の名前も記されています。
また、西南戦争最後の激戦地となった鹿児島市城山では、午前3時に政府軍が整列を始めたことや『砲声城山ヲクダクルカ如し』など相手軍に攻め入る際の様子が細かく描写されています。
近代史が専門で志學館大学の原口泉教授は、「一兵士の従軍手記として、西南戦争の全容が分かる第一級の資料だ。西郷が自決した日の翌日に書いた手紙であるため、脚色する余地がないのは明らかで、客観性が高い」と話しています。
手紙を所有していた榊原さんは「西南戦争のことが書いてある手紙があることは父から聞いていた。大河ドラマの『西郷どん』を見ていて、思い出した。研究の役に立つのなら、ぜひ使ってほしい」と話しています。