http://www.bbc.com/japanese/44379175

2018/06/06
フランス南部ダクス近郊で、いわゆるアルツハイマー病患者村の建設が始まった。地元メディアが伝えた。同国初となるこのプロジェクトは、オランダ・アムステルダムで行われている同様の実験を参考にしている。

2019年までにおよそ120人の患者を迎える予定。開放的な造りで、代替療法などを提供する。
ボルドーのペレグリン大学病院の神経学・疫学者ジャン・フランソワ・ダルティーギュ教授は、「住民が社会生活に参加し続けられるよう」なものを村に設置すると話した。

フランスのアルツハイマー協会によると、同国ではアルツハイマー病や関連の認知症患者は100万人を越え、毎年20万人以上が新たに診断されている。
現在、この病気の進行を止める治療法は開発されていない。

フランスに作られるアルツハイマー患者向けの村は、バスティードと呼ばれる中世の伝統的な街の造りを模している。村のあるランド県ではよくあるもので、日常感を残すための工夫だ。
村の設計者は仏紙ル・モンドに、目に見える形の柵は設けないが、街の社会的・文化的生活に馴染んだ安全な歩道が多く作られるという。

村は、7ヘクタールの土地を中央広場を中心に4つの区画に分けている。スーパーマーケットや美容院、レストランなどを設け、社会的な交流を促す造りだ。
コンセプトは、病院の雰囲気から遠ざかること。薬物治療は行わず、介助者も普段着を着る。
オランダで行われている同様の実験を参考にしており、フランスでは地元の政治家が自身の選挙区で取り入れた。この地域には約8000人の神経変性疾患患者がいる。
ただしオランダの村とは異なり、フランスの村には研究施設が設置され、実験結果を旧来の介護施設で取られている手法と比較する。

研究員は住民と共に村に住む予定。100人ほどの介助者と、さまざまな活動を行うボランティアもこの村に居住する。
村では住民の精神的な孤独感を和らげるため、訓練された犬も飼うという。

オランダでの実験

オランダでは数年前、南東部ウェースプに同様のアプローチの認知症患者向け介護施設が開設された。南東部ウェースプにあるこの施設では患者に自宅にいるような環境を提供し、介助者も普段着を着る。
フランスの村と同様、毎日の活動でに日常生活の雰囲気を味わってもらい、社会的な交流を促す。
この施設のスーパーマーケットでは、住人がお金を支払わずに商品を持っていってしまっても、施設が肩代わりすることになっている。住人は運動もできるが、村の中にとどまる必要がある。
(英語記事 France builds first Alzheimer's 'village')