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国民民主党の大西健介議員はこうだ。そもそも質問主意書が必要だろうか。

“「喫煙時の室内におけるニコチン濃度に関する質問主意書」
厚生労働省は、本調査(喫煙時の室内におけるニコチン濃度)が行われた条件について「換気のない狭い室内で喫煙した場合」としているが、「狭い室内」とは具体的には何平方メートルだったのか明らかにされたい。
「答弁書」
本件調査においては、縦及び横の辺の長さが〇・八メートルで面積が〇・六四平方メートル、高さが二・二メートルの部屋(以下「実験室」という。)でニコチン濃度の測定等が行われたと承知している。”

次は立憲民主党の生方幸夫議員。加計学園問題に関連するものとはいえ、これも政府を通じて確認させる必要性がイマイチ分からない。

“「今治市が文化財指定している日本固有の馬、野間馬に関する質問主意書」
野間馬のように濃い血統の種は、研究者にとってはなかなか扱えない貴重な検体といえるが、野間馬が動物実験の検体として利用されることはないのか。
「答弁書」
「のまうまハイランドで飼育されているウマを対象とし、教員が実施する定期健康診断及び繁殖検診を含む産業動物診療に同行する」と(加計学園提出の書類に)記載されているが、いずれにせよ、お尋ねについては、愛媛県今治市の指定文化財の取扱いに関するものであり、同市において適切に判断されるべきものと考えている。”

最後に国民民主党の緑川貴士議員。まずは秋田犬保存会に意見聴取してから質問してはどうか。

“「秋田犬保存会によるロシア・ザギトワ選手への秋田犬贈呈に関する質問主意書」
贈呈のセレモニーにおいて、ザギトワ選手本人に直接手渡しすることは、秋田犬保存会や関係者の熱意や苦労が報われる集大成の場であり、安倍総理からではなく、マサルのブリーダーや秋田犬保存会関係者などから直接ザギトワ選手に手渡しされるべきであると考えるが、政府の見解を尋ねたい。
「答弁書」
公益社団法人秋田犬保存会会長からの要請等を踏まえ、平成三十年五月二十六日(現地時間)にモスクワで同会が行うザギトワ選手への秋田犬の贈呈式に、安倍内閣総理大臣が立ち会う方向で調整を行っているところである。”

他にもまだまだ謎の質問があるので、両院ホームページで確認されたい。

一方、質問主意書は明らかに重要な内容で、政府の説明が十分でない点を鋭く突いたものであるにもかかわらず、答弁書の記述が木で鼻をくくったような内容であることも多い。

よく見られるのは、「□□の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが」「○○のおそれがあるため、お答えを差し控えたい」という、逃げの記述だ。質問主意書の数が増え、答弁書の内容が不十分になってきているとの指摘もあるが、そうした多忙さゆえの定型句とは別に、全面的に答弁を避けるための常套句と化している面もある。

■職員の残業の大きな原因の一つが「国会対応」

Business Insider Japanは、2018年3〜4月に官僚の働き方についてアンケートを実施。その結果、9割の職員がほぼ毎日残業し、その大きな原因の一つが「国会対応」にあることが明らかになっている。

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上記のような答弁書を作成するために、調査に当たる政府のスタッフや省庁の官僚たちの時間が奪われていく。民間企業で働き方改革への真剣な取り組みが続く一方で、霞が関では優秀な若手人材たちが自らの仕事に対する疑問を押し殺し、残業を続けている。

国民の代表者である国会議員に認められた権利とはいえ、我が国が抱えるいくつもの重大な問題に取り組む労力や時間と、常にトレードオフの関係にあることを忘れてはならない。その観点から、質問主意書制度のあり方、使い方を今一度見直す必要があるのではないか。