2018.06.11 07:00
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地球と月の距離はゆっくりと離れていっている。そしてこれは地軸の回転などに影響を与えることにより「地球の一日」の長さを変える。新たな研究により太古の地球と月の関係を地質記録から導き出し、当時の地球の一日の時間も算出することができた。

■ 地球の長くなった午後

地球と月ができて間もない45億年前、一日の長さはわずか5時間程度だったとされる。しかし時が経つにつれて月は地球から離れていき、だんだんと日が長くなってきた。
この日射量の変動周期「ミランコビッチ・サイクル」は、地球の自転軸の傾きの変化や歳差運動、離心率の変化により起こるものだが、その様子は地質記録から知ることができる。
例えばこれは珊瑚などの化石の一日の日輪からも確かめることが可能だ。だが実際には地球と月の関係だけでなく、そして太陽と他の星々との影響もあり、特に時代が古い5000万年以上前の変動周期を正確に知るのは難しい。

■ 14億年前の一日
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Proceedings of the National Academy of Sciencesに6月4日に発表された研究では、「ミランコビッチ・サイクル」で太古の地球の日射量変動周期を再現することで同時に太陽系の過去を復元するという試みが行われている。
今回の研究では地質記録、天文学理論、そして「TimeOpt」と「ベイズ・インバージョン」という統計学的手法を合わせている。「TimeOptMCMC」というアプローチにより14億年前の中国の地層と、5500万年前の南大西洋のウォルビス海嶺からの岩のサンプルを分析した。
これにより、今から14億年前は地球と月との距離が約34万0900km(± 2600km)であり、地球の一日はわずか18.68時間(± 0.25時間)だったと算出された。今回のアプローチを用いることで、地球の地質記録から、地球と月の関係、そして太陽系の歴史も垣間見ることができるのだ。