アメリカはリアリストだった。「北朝鮮の独裁者と会談すること」まずそれだけで成果だと。
そして2人で膝をつめて話す。キムは影武者ではなく本物か? 本気か? で、やはり北朝鮮は
国内が統制できていない、キムは「助けてくれ」とのメッセージをトランプに出したんだろうな。

トランプはここで勝利を確信した。まずサインさせた。これで北朝鮮が非核化を遂行しなければ
空爆もできるようになる。制裁を一切解除しない、というアメリカのスタンスにキムは脂汗を
かいた。もう、北朝鮮は経済的にもたない、しかし戦争する体力はない、キムは亡命の件さえ
密かにトランプに相談したのではないか?

トランプは弱みにつけこんで長い話し合いになった。キムは体制維持が困難だと伝えた。しかし自分には
逃げ場がないと。トランプは狡猾だから、キムの機嫌を損ねるようなCVIDや拉致問題に言及はしなかった。
合意文書に書かれていないが言及した、とトランプは言ったがウソだろう。キムを安心させてサインさせること、
これが一丁目一番地の目的。そして次の目的はアメリカ戦没者の遺骨を返せ、ということ。で、これらは首尾よく
いった。あとは、ボルトンに交渉させる。毎週のようにやり合うだろう。しかし、絶対に完全なる非核化は
北朝鮮にはできないから、早晩、交渉決裂。で、空爆。このような流れだと思う。なぜ北朝鮮は非核化できないか?
共産主義体制を保証してくれ、と言っているから。この独裁体制・恐怖政治で軍部と大衆を抑え込む以外に
行き方がない、から。共産主義体制で南北統一など有り得ない。人権・信仰の自由などチュチェ思想では有り得ない。
だから朝鮮戦争終結宣言も当然なかった。

今回の成果は、キムが泣きついたってこと。北朝鮮の軍部は一枚岩ではない、戦争してもまず勝てない、
国に体力がない、アブラもない、経済制裁を解いて欲しい、これらのメッセージを完全に得たこと。
これで戦争しても勝てると。ソウル数千万の一般大衆の犠牲を恐れていたが、あっけなく最初の空爆で
相手は骨抜きになる、と判断できたこと。
そして核兵器をミサイルに搭載して飛ばす技術がまだ北朝鮮にない、これを聞き出せたことだろう。

日本は拉致問題を解決できなければビタ一文支払うことはない。今まで通り強い圧力で制裁していれば良い。
北朝鮮が干上がるか、ウソを言って決裂、西側と戦争になるか、いずれかだろう。アメリカは狡猾・老獪で、
カネに異常にシビアなトランプは、カナダのトルドーにぼろかすに言った。そんなトランプは今後の北朝鮮に
関わるカネに関しては日本と韓国に要求してくるだろう。しかし日本は日韓基本条約と拉致問題を盾に首を
横に振れば良い。日本は当該問題に関しては蚊帳の外で良い。しかし拉致問題だけは、日朝会談のチャンスが
あれば命がけで対応してもらいたい。政治家も外務官僚も、命がけでなけりゃ命など救えないと肝に銘じてもらいたい。

まあ、いずれにせよアメリカは行動して独裁者を引き吊り出した。これは実際たいしたもんだよ。容易ではない。
イスラエルも大喜びだろう。キムが最近ロシアのラブロフ外相と会談したことやシリアのアサドと電話で話したということだが、
これらは西側のキムに対する評価をゼロにまで下げただろう。このままでは核技術・ミサイル・生物化学兵器が、イランや
シリアやレバノンやパレスチナやテロ組織に密輸される、と確信させたのだろう。今年は様々な動きが見られると思う。