イエメン政権側が反政府勢力拠点奪還作戦 市民25万人残る
2018年6月14日 7時49分
内戦が続くイエメンで、政権側は、反政府勢力の拠点都市の奪還作戦に本格的に乗り出しました。国連は、市内に25万人の市民が残っているとして、戦闘をやめるよう呼びかけています。
イエメンでは、サウジアラビアなどが支援するハディ政権とイランが支援する反政府勢力「フーシ派」との間の内戦が、３年以上にわたり続いています。
ハディ政権は、13日反政府勢力が国外から物資を補給する最重要拠点となっているとして、港湾都市ホデイダの奪還作戦を始めたと宣言しました。
ハディ政権は、「ホデイダの奪還は、反政府勢力の崩壊の始まりだ」と主張し、支援するサウジアラビアなどが激しい空爆を行っていて、ホデイダで活動するイギリスのＮＧＯによりますと、この日空爆が30回以上行われたということです。
これに対し反政府勢力も徹底抗戦の構えを崩しておらず、今後市街地で激しい戦闘が行われる可能性が高まっています。
こうした中、国連は、ホデイダには25万人の市民が残り、戦闘に巻き込まれるおそれがあるとして、政権側と反政府勢力の双方に戦闘をやめるよう呼びかけています。
イエメンでは、内戦が食糧難を引き起こし、およそ840万人が飢餓の危機に直面する悲惨な状況に陥っています。
ホデイダ周辺に子ども30万人
ユニセフ＝国連児童基金は、12日声明を発表し、ホデイダとその周辺には少なくとも30万人の子どもが暮らしているという推計を明らかにしました。
そして、「イエメン全土で数百万人の子どもたちが、ホデイダにある港から毎日運び込まれる人道支援物資などに頼って生き延びている。子どもたちの栄養状態が、さらに悪化の一途をたどるほか、水をくみ上げるための燃料が尽きれば、飲み水の入手がさらに困難になり、コレラや下痢が広がって幼い子どもたちの命を奪いかねない」と述べ、イエメン各地への物資の供給拠点となってきたホデイダへの攻撃は、イエメンで暮らす人たちに深刻な影響を与えかねないとして、強い懸念を示しています。
そのうえで、ユニセフは、戦闘に関わっている当事者とその当事者に影響力を持つ国々などに対し、子どもたちを守ることを最優先にするよう呼びかけています。
国連 軍事衝突回避呼びかけ
国連でイエメンを担当するマーティン・グリフィス特使は、13日声明を出し、「ホデイダでの軍事作戦の展開を強く懸念している。これ以上軍事的に緊張が高まることは、すでに切迫しているイエメンの人道状況に深刻な影響をもたらす。この紛争に、軍事的な解決策は一切ない」と非難しました。
そのうえで、「ホデイダでの軍事的衝突を回避するため、あらゆる機会を探り続ける。私たちは、すべての当事者と絶えず連絡を取っていて、衝突回避のための努力に建設的に関わり、平和的に解決するよう呼びかけている」として、国連として働きかけを行っているとしています。
