https://mainichi.jp/articles/20180630/k00/00m/030/085000c

韓国
済州島にイエメン難民続々 査証なし入国があだに
毎日新聞 2018年6月29日 20時24分(最終更新 6月29日 20時25分)

 【ソウル渋江千春】今年に入り、観光客誘致のため査証(ビザ)なしで入国できる韓国・済州島に渡航し難民認定申請するイエメン人が急増し、韓国政府が対応に追われている。6月1日からイエメンに関して査証なしの入国を認めない措置を取ったが、すでに500人以上が入国。法務省は29日、審査期間の短縮や厳格化などの対応策を発表した。

 イエメンではハディ暫定政権と親イランの反体制派武装組織「フーシ」の間で内戦状態が続いている。こうした中で昨年末にマレーシアのクアラルンプール−済州島間を結ぶ直行便が就航。イエメンから査証なしで入国できるマレーシアを経由し、済州島に入国するルートができ、イエメンからの渡航者が急増した。

 法務省によると、今年1〜5月に難民認定申請したイエメン人は計552人。昨年1年間の131人に比べ、4倍以上に達した。

 韓国政府は混乱を避けるため、6月以降はイエメンに関して査証なしの入国を認めない措置を取った。法務省は「観光客の誘致のためという本来の趣旨に反し、国境管理や国民の安全面からも望ましくない」と理由を説明している。

 すでに入国し、難民認定申請したイエメン人に関しては、査証なしで滞在できる30日を過ぎても審査結果が確定するまで滞在が認められる。持参金が尽きたイエメン人が野宿するケースが発生したため、政府は通常は申請後6カ月たたないと認められない就業を認める特例措置を取った。政府は29日、審査担当者を増員し、8カ月はかかっていた審査を2〜3カ月で行うほか、審査の厳格化などの対策を決定した。

 一方、今回のイエメン難民急増に関して、韓国国内の世論は割れている。リアルメーター社が20日に実施した世論調査結果では、今回の難民受け入れに関し、反対が49.1%で、賛成の39%を約10%上回った。