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文科省汚職事件 東京医科大トップ2人が点数加算指示か
2018年7月5日 18時21分文科省局長逮捕

文部科学省の前局長が、私立大学の支援事業の選定で東京医科大学に便宜を図る見返りに息子を不正に合格させたとされる事件で、入試の不正には東京医科大学トップの臼井正彦理事長らが関わっていた疑いがあることが関係者への取材でわかりました。東京地検特捜部は教育行政を担う局長と大学トップの癒着の実態解明を進めています。

文部科学省科学技術・学術政策局長だった佐野太容疑者(58)は、去年5月、私立大学の支援事業の選定で東京医科大学に便宜を図る見返りに、この大学を受験した息子を不正に合格させたとして、4日、受託収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。

これまでの調べによりますと、佐野前局長は文部科学省が特色ある研究に対して費用を支援する「私立大学研究ブランディング事業」の対象に東京医科大学が選定されるよう依頼されていたということですが、この依頼をしていたのは大学トップの臼井正彦理事長だったことが関係者への取材でわかりました。

そして選定に便宜を図ってもらう見返りとして、臼井理事長らの裁量で佐野前局長の息子の入試の点数を加算し、合格させていた疑いがあるということです。

臼井理事長は平成20年10月に東京医科大学の学長に就任し、平成25年7月から5年間にわたって理事長を務めています。

特捜部は、教育行政を担う局長と大学トップの癒着や支援事業の選定をめぐる詳しい経緯について実態解明を進めています。

東京医大の試験科目は

東京医科大学医学部医学科の一般入試の募集人員はことし75名だったのに対し、受験者数は2600人余りでした。一般入試は1次と2次の合わせて2回試験が行われ、このうち1次試験は理科、英語、数学が試験科目でした。

この1次試験に合格した451人が2次試験に進み、小論文と面接、それに適性検査を受けました。そして171人が合格し、最終的に入学したのは85人でした。

臼井理事長とは

東京医科大学のホームページなどによりますと、臼井正彦理事長は昭和35年に東京医科大学に入学したあと、医師免許を取得して平成6年に主任教授になりました。

その後、大学病院の病院長を務めたあと、平成20年に学長に就任し、平成25年からは13代目の理事長として大学の経営に携わっています。

大学のホームページの理事長あいさつのなかで、臼井理事長は「医師国家試験や看護師国家試験の合格率をより向上させ、科研費などの外部資金獲得の強化などを引き続き図っていきます。医学への情熱と忍耐力をもって人類の病に対する治療や健康維持増進に挑戦し続け、進化する医科大学としてまい進してまいります」などと記しています。

佐野前局長「将来の次官候補」

逮捕された佐野太前局長(58)は、昭和60年に当時の科学技術庁に入り、アメリカのスタンフォード大学に留学。省内の重要ポストと言われる総務課長や会計課長、さらに官房長を歴任するなど、「科学技術庁出身のエース」として、文部科学省の将来の次官候補の1人と見られていました。