厚生労働省が6日発表した5月の毎月勤労統計(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月から1.3%増えた。1年10カ月ぶりの高水準だ。人手不足で人材の確保が難しいなか、つなぎ留めるために給与を引き上げている。

 名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は2.1%増の27万5443円。伸び率は14年11カ月ぶりの高水準となった。内訳をみると、基本給にあたる所定内給与は1.5%増え24万4175円となった。残業代など所定外給与は1.6%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は14.6%増加した。

 賃金が上昇したのは、名目賃金のなかで比重の高い基本給が増えているためだ。厚労省は「特に正社員で基本給が引き上げられている」と指摘する。5月に入り、ベースアップによる賃上げなどが寄与したとみられる。

 春季労使交渉による賃上げの効果が浸透するのは6〜7月になる。連合の集計によると、賃上げを要求した企業の労使妥結は5月末の時点で約8割。妥結時期に応じて7月ごろまでに賃金に反映される見込みだ。

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