アメリカのトランプ大統領が表明していた中国に対する関税引き上げ措置がついに発動されました。これに対して中国も同規模の報復措置に踏み切っており、アメリカと中国は「貿易戦争」の状態に突入しました。そんな状況の中、アメリカの有名楽器メーカー「moog(モーグ)」は関税引き上げによる生産コスト増が同社の経営に打撃を与えるとして、オートバイメーカー「ハーレーダビッドソン」と同様に事業を海外にシフトさせる可能性を示唆しています。

アメリカ東部時間の2018年7月6日午前0時1分(日本時間で同日13時1分)に発効した追加関税措置は、産業用ロボットなど中国からの輸入品340億ドル(約3兆7600億円)が対象。追加される税率は25%で、トランプ政権はさらに別枠で160億ドル(約1兆7700億円)相当の中国製品への関税を2週間内に発動する可能性があるほか、今後さらに2000億ドル、3000億ドル規模の措置が続くことも示唆しており、最終的に5500億ドル(約60兆円)相当の中国製品が対象になる可能性があります。

〜中略〜

そんな中で新たに中国を相手に勃発した貿易戦争を受け、1950年代に創業した老舗電子楽器メーカーの「Moog Music」は、状況がこれ以上続くと生産拠点を海外に移さざるを得ないという構えを見せています。

Moog Musicは、1960年台にロバート・モーグ博士によって開発されたアナログシンセサイザーにその歴史の発端を持ちます。当時としては非常に画期的な電子楽器として発表されたMoogシンセサイザーは数々の音楽制作に取り入れられてきましたが、おそらく以下の曲は誰もが一度は聴いたことがあるはず。音楽ユニット「ペリー&キングスレイ」が1967年に発表した楽曲「バロック・ホウダウン」で、別名「(初代)ディズニーランドのエレクトリカルパレードの曲」です。

Moog Musicは顧客に向けたメッセージの中で、関税措置によるコスト増が実施されると「楽器を製造するためのコストが即座に、しかも大幅に増加する」ために、「従業員のレイオフおよび、最悪のシナリオとして生産拠点を一部または完全に海外にシフトさせることになる可能性がある」と表明しています。

メッセージの中で同社はまた、顧客に向けて文章のテンプレートを提供し、「連邦議会議員や上院議員に対して次の内容の手紙を送ることで、問題解決に向けた行動を助けてほしい」と依頼しています。

手紙の文面には、「Moog Musicに代わってこの手紙を送る」こと、そして「同社の製品に使われる電子基板の約半分は中国からの輸入品」であり、関税措置により「生産コストが激増するためにアメリカ人労働者がレイオフされる、あるいは生産拠点がアメリカ国外に移転してしまう」可能性があり、その結果として「60年に及ぶ歴史の中で数々の伝説的な作品に関わってきたMoog MusicとMoogシンセサイザーの歴史が終わるのを見たくない」という内容が記されています。

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https://gigazine.net/news/20180707-moog-move-overseas/
https://i.gzn.jp/img/2018/07/07/moog-move-overseas/00_m.jpg
http://www.youtube.com/watch?v=Ax00vnsZPKE