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フェロー諸島の千人を超す子どもの追跡調査。



2006.11.11
メチル水銀 微量でも胎児に深刻な影響 国際水銀削減会議で報告
http://kumanichi.com/news/local/index.cfm?id=20061113200006&;cid=main
欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会(EC)は、十月末、本部のあるブリュッセルで開いた「国際水銀削減会議」の討議内容を十一日、電子版で公表した。
この中で水銀研究の権威、南デンマーク大教授でハーバード大大学院特任教授のフィリップ・グランジャン博士(57)は、たとえ微量のメチル水銀でも胎児期にさらされると子どもの知能指数に深刻な影響が出るとの最新の研究結果を報告した。
同会議は、加盟二十五カ国の環境と健康を守るため、水銀削減条約などの必要性を訴えているEUが企画。
国連、米国、中国、ブラジル、インドなどの専門家、NGOから汚染の現状を聞いた。
同教授は「水俣病から学ぶ」と題し、水銀が摂取濃度の度合いで、人間の脳にどんな影響を与えたかを図解を交えて解説。
この二十年、ノルウェーとアイスランドの間にある鯨や魚を多食するフェロー諸島で行っている千人を超す子どもの追跡調査結果を伝えた。
神経心理学テストを使って評価したが、同諸島の妊婦から生まれ、七歳になった子どもで、記憶力が二カ月、言語能力一・六カ月、注意力一・三カ月、運動機能〇・九カ月、視覚機能〇・六カ月、それぞれ魚を多食しない地域に比べて遅れていることが判明した。
これらの数値は知能指数(IQ)への換算で平均1・5ポイントの低下を示すことや、六人に一人の割合で神経疾患が進んでいることも報告。
「微量水銀の影響を過小評価すべきでない」と警告した。
日本における妊婦の毛髪水銀のリスク評価は11ppm(米1・1ppm)だが、今回の研究結果は、10ppm以下の微量でも、子どもの健康に影響が出ることをあらためて示した。
環境省も微量水銀が胎児に与える影響を、二〇〇二年度から大型魚を多食する宮城県内の病院で調査しているが、東北大医学部の佐藤洋教授は「今までに目立った発見はない」としている。
(井芹道一)