2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック。特に東京五輪の大会期間中は、選手1万1000人、観客780万人、メディア関係者2万5000人が国内外から訪れると試算されている。選手はバス2000台、大会関係者用は乗用車4000台で、競技会場や宿泊施設などを移動する予定だ。

もしも何も対策をしなかった場合、鉄道の輸送客は通勤ラッシュの時間帯に1割増、高速道路の混雑は現在の2倍になると予想。通常の経済活動への影響が懸念されることから、東京都と2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は現在、大規模な交通輸送計画を検討。東京地下鉄株式会社(東京メトロ)でも増発や駅構内のセキュリティ強化など、五輪に向けた取り組みが始まっている。

大会運営の成否を握るとも言われる輸送。東京五輪ではどのような準備が進んでいるのだろうか。また、私たちの日常生活にどのような影響があるのだろうか。東京・豊洲の芝浦工業大学で7月7日に開かれた公開講座「東京2020大会に向けた輸送戦略」をリポートする(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

●選手や五輪関係者の車両が走る首都高、「休日並みの交通量を目指す」

公開講座では東京都や東京メトロの責任者らが講師を務め、取り組みの現状を紹介した。

東京都オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部の松本祐一輸送課長によると、五輪は7月24日(金)〜8月9日(日)、パラリンピックは8月25日(火)〜9月6日(日)に開かれるが、2020年だけの特別措置として、これらの期間中に海の日と山の日、体育の日の移動が決定している。これら祝日と週末を除くと、平日は五輪で10日間、パラリンピックで9日間、合計19日が「重点的な取り組みが必要な期間」となる。

五輪大会期間中には、関係者の車両としてバス2000台、乗用車4000台が調達され、「クモの子を散らすような状況」で、空港や宿泊施設、競技会場などの間を移動することになる。これを車の台数に換算すると、1日あたり約5万台が増える試算になるという。その移動の主要ルートになるのが、首都高だ。
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●朝の通勤ラッシュ軽減で、「企業は休業やボランティア休暇、時差出勤を」

多くの一般市民にとって、最も影響を受けるのは「通勤の足」である鉄道だろう。鉄道についても、混雑の激化が予測されている。

五輪の観戦客は、これまでの五輪同様、競技会場までは自家用車ではなく、電車やバスなどの公共交通機関の利用が求められる。さらに、区部のホテルは大会関係者やメディアが宿泊するため、遠方からの観戦客は千葉県や埼玉県など隣接する地域に宿泊することが想定されている。

「ラッシュのピーク時に大きな荷物を持った観戦客が千葉県や埼玉県から競技場に向かう電車に乗ってくると、ホームや通路で混乱が発生して、危険な状況が見込まれます」

もしも何も対策しなければ、朝7時から9時の時間帯の鉄道利用者は1割増加するとみられる。そのため、次の3つの重点対策が考えられている。まず、鉄道各社では昼間の時間帯に運行本数を増やす。次に競技会場では時間差で入退場を行って集中しないようにする。さらに、時差出勤やテレワークなどを呼びかけ、鉄道の利用者自体の減少をはかる。

これ以外にも、企業や官公庁、市民に向けて次のように呼びかけるという。「大会期間中、混雑が予想される平日10日間は、できるだけ休暇を取っていただきたいとお願いをしています。大手のメーカーさんでは、全社一斉休業にする取り組みも決まっています。また、ボランティア休暇制度がない企業さんには、新たに設けていただきたいと思っています」

●物流圧迫するネット通販「クリックしないでとは言えないが……」

これまでの五輪ではあまり発生していなかった問題もある。ネット通販だ。

「本当にお願いしたいところは、ネット通販がかなり物量を増やしています。個人の消費者行動なので、『クリックしないでください』とは言えないのですが、たとえば大会期間の前に必要なものを納めていただき、不要不急のものは大会後に注文していただくなど、みなさまにご協力いただければと思います」。現在、大手通販会社にも協力を依頼しているという。

2012年のロンドン五輪では、交通輸送マネジメントの成功が大会運営の高評価につながったとされる。「ロンドン大会では、日程ごとに鉄道駅の混雑予想を発信していました。現在もそれはレガシーとして受け継がれています。東京大会でも、混雑予想などの情報を提供していきたいと思います」と松本課長は語った。
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