2018/7/11 07:37
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てんりゅう(中央)を公開する能見公博教授(右)と川田善正学部長=10日午前、浜松市中区の静岡大浜松キャンパス

 静岡大工学部は10日、開発した超小型人工衛星「STARS−Me(スターズミー)」を浜松市中区の同大浜松キャンパスで公開した。公募で決めた愛称「てんりゅう」も発表。3月上旬まで運用した「はごろも」の後継機として、地上と宇宙ステーションをケーブルでつないで人や物資を運ぶ「宇宙エレベーター」構想の実現に向けた実験を行う。今夏以降に国際宇宙ステーション(ISS)から高度400キロの軌道上に放出する。
 てんりゅうは1辺10センチの立方体が2機つながり、14メートルの金属製テープと、ローラーやモーターが付いた縦横3センチ、高さ6センチの小型昇降機を内蔵する。総重量は2・42キロ。約1年かけ、県内外の企業や団体の協力で開発した。製作費は約600万円。
 実験は軌道放出後に2機を分離してテープを伸ばし、テープ上で昇降機を移動させる計画。はごろももエレベーターケーブルに見立てた内蔵のひもを宇宙空間で伸展する計画だったが、今回は昇降機を動かす過程が新たに加わった。昇降機まで付けた実験は世界初。
 操作や情報取得はアマチュア無線を使う。はごろもは通信系が不調だったため、てんりゅうは無線通信専門の同学部研究室も実験に加わり改善を目指す。
 愛称は全国から103件の応募があった。天に昇る竜と昇降機の移動のイメージを重ね、同キャンパスのある浜松地域を流れる天竜川にちなんで決めた。放出時期について同大は2018年内を希望し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と調整中という。
 開発を主導した能見公博・同学部教授は「微少な重力や遠心力の影響もあり、何が起こるか分からないが、昇降機を動かす課題を達成したい」と話し、川田善正・同学部長も「はごろもに続き、大きな成果を出してほしい」と期待した。