2018.7.11 07:20
https://www.sankei.com/west/news/180711/wst1807110008-n1.html

 西日本豪雨により、近畿以西の13府県にある国の文化財計69件で浸水などの被害が確認されたことが、文化庁の10日午後5時時点のまとめで分かった。被災地では文化財の調査まで手が回らない自治体もあり、被害件数は増える可能性が高いとみられる。

 広島県では、江戸後期の儒学者菅茶山ゆかりの特別史跡「廉塾ならびに菅茶山旧宅」が浸水したほか、史跡「毛利氏城跡」にある毛利元就の墓所の石垣が崩れるなど8件の被害が出た。県教育委員会は「人命救助が優先で、文化財の状況を確認できていない市町村も多い」と話す。

 愛媛県は史跡「松山城跡」敷地内の道路の土砂崩れなど6件の被害を確認したが、個人所有の美術工芸品の状況は全く把握できていない。担当者は「古文書などが浸水している可能性もある。全体像が分かるまでは、かなり時間がかかる」と指摘する。

 他に被害が確認されたのは、京都14件、福岡11件、兵庫10件、岡山4件、香川4件、大分4件、佐賀3件、熊本2件、和歌山1件、山口1件、沖縄1件。

 文化庁は6月下旬の台風7号から被害をまとめており、沖縄県今帰仁村にある世界遺産「今帰仁城跡」の石垣崩落も集計に含まれている。