ニュートリノ振動現象の発見により、ニュートリノに数meV〜数百meVの質量があることが明らかとなったが、
その質量は同じレプトンである電子にくらべて7〜9桁も小さい。このような大きな差を説明する理論としてシーソー機構が提唱されている。
これは、ニュートリノが実は粒子と反粒子とが同一粒子であるマヨラナ粒子である場合に、
非常に重い右巻きニュートリノ質量と荷電レプトン程度のディラック質量の混合が起きて、その結果、
小さな質量状態が実現するというものである。ニュートリノがマヨラナ粒子であるのかどうかは、シーソー機構の前提条件として重要なのはもちろんであるが、
「マヨラナ粒子」の存在を確認すること自体が自然科学において重要な発見である。
また宇宙における物質・反物質(CP)の非対称性の起源を、重い右巻きニュートリノの崩壊におけるCP対称性の破れで説明する「レプトジェネシス」モデルの
前提条件でもあり、宇宙物理学上も非常に大きな意味を持つ。


https://www-he.scphys.kyoto-u.ac.jp/research/Neutrino/AXEL/experiment.html