由良川堤防の内側にたまった雨水などの内水=2018年7月7日、京都府舞鶴市志高、大久保直樹撮影
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由良川堤防の内側にたまった内水=2018年7月7日午前、京都府舞鶴市志高、大久保直樹撮影
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内水がひき、泥水につかった日用品などを処分する住民たち=2018年7月10日午後、京都府舞鶴市志高、大久保直樹撮影
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2004年の台風23号の豪雨災害では、バスが水没し、乗客たちは屋根の上で救助を待った=04年10月、京都府舞鶴市
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 2004年の台風23号で大きな被害が出た京都府北部の由良川流域は、今回の西日本豪雨でも集落が冠水した。由良川の氾濫(はんらん)を抑える堤防の整備は進んだが、集落に降り注いだ雨水などの内水を由良川へ流せず、堤防の内側に水がたまった。

 14年前の台風23号の豪雨災害では、全国で死者・行方不明者が98人にのぼった。うち京都府内では15人が死亡、住宅の全半壊と一部破損、床上床下浸水で1万棟以上の被害が出た。

 由良川下流部の舞鶴市志高地区では、多くの車が水没。観光バスの屋根に取り残された乗客たちが、「上を向いて歩こう」などを歌いながら夜明けまで耐えたことでも知られる。

 国土交通省は04〜16年に京都府福知山市と舞鶴市の9カ所で堤防を整備。宅地もかさ上げし、総事業費は約500億円にのぼった。

 ところが、今回の豪雨で再び浸水被害が出た。

 舞鶴市志高地区では、7日午前0時ごろから国道175号が冠水を始めた。午前5時すぎに由良川が増水したため、内水を由良川に流す門が閉じられた。行き場を失った内水は水かさを増し、国道付近の水位は1メートル以上になった。住宅への浸水も相次いだ。

 給食調理員の増本見也子さん(40)は家族5人で公民館へ避難した。「堤防はできたが、今度は山からの水がじわじわとたまっていくようになった」と話す。

 舞鶴市の担当者は「外水(由良川の水)からは守られるようになったが、内水が新たな問題になった」と認める。京都大学防災研究所の中川一所長(防災水工学)は「内水をポンプで川に流しても、増水して堤防が決壊すれば、より甚大な被害につながる。ハード対策には限界がある」と指摘した。(大久保直樹)

朝日新聞 2018年7月12日17時48分
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