「おかあさん、息子さんはもう死んどるけえ、無理しちゃイカン」
「いや、まだ生きとるんじゃ。ワシには聞こえとるんじゃ。ほれ、今も電話が鳴っとるじゃろう」
炎天下に不眠不休で土を掘り続けた母は
3日目についに倒れて病院に運ばれ
そのまま帰らぬ人となった
間際まで土砂をはらい続けた母は、死してもなおスコップを離さなかったという

数年の歳月が流れ、今その悲劇の地には変哲のないアパートが建っている
だがそのアパートの一角にある小さな碑
その前で携帯電話を鳴らすと声が聞こえると言う
「生きてるんじゃ、まだ生きてるんじゃ、ほれ電話が鳴っとるじゃろう」
と・・・