日本の伊賀市が忍者不足に直面しているとの報道が話題となり、伊賀市は24日、忍者の募集は実施していないと発表した。
伊賀流忍者発生の地を称する伊賀市の地元当局者は、世界中から大量の応募書類を受け取ったという。

しかし伊賀市は日本語で出した声明文で、忍者の公式な募集はまったくしていないとし、「ご注意ください」と呼びかけた。
この混乱は、米メディアの報道がきっかけとみられる。

■忍者不足?

7月16日、米ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)が、経済を扱うポッドキャスト「プラネット・マネー」内の番組
「ジ・インディケーター」で、伊賀市が忍者を基盤にした観光戦略の拡大にあたり、労働者不足に悪戦苦闘していると報じた。

「伊賀市は2つ目の忍者博物館を建設予定だ(が、問題は)労働者不足だ(中略)。
(伊賀市は)忍者自体も増やしている」とサリー・ハーシップス記者はNPRのポッドキャストで述べた。
「忍者不足だ。正確に言えば、忍者役が不足している」。

ハーシップス氏はまた、日本では忍者を演じる役者は年間2万3000ドル(約255万円)から
8万5000ドル(約943万円)稼げると付け加えた。ただ、すぐに勤務可能な忍者の募集枠があるとはしなかった。

NPRのポッドキャストはインターネット上での報道の熱狂に火をつけた。
関連報道の多くが、伊賀市が年間8万5000ドルで忍者を募集していると伝えていた。
NPRはその後、ポッドキャストの要約が「間違って伝わった」とし、
ポッドキャスト内での話が誤解されているかもしれないとも述べた。

NPRが公開していた番組の要約は、伊賀市が「深刻な問題に直面しており、
年間8万5000ドルを出しても忍者になるための訓練をする人が足りない」と伝えていた。

「この描写は間違っていた」とNPRの広報担当者はBBCに話した。
「この話がインターネット上に投稿された後、話の一部がソーシャルメディア上で曲解されたり、
他のメディア企業に簡略化されたりした」

■身体に自信満々

しかしこれらの報道は、23カ国から少なくとも115件の忍者希望者による伊賀市への連絡を引き起こした。
勤務可能な職はないかとの問い合わせだったという。

伊賀市産業振興部観光戦略課の島井基吉氏はロイター通信に対し、
ほとんどの問い合わせは本当に募集しているのかというものだったが、雇ってくれるよう懇願し、
自分を売り込んでくる人もいたと語った。何人かは自分の体や強さに自信満々だったという。

伊賀市は、混乱を機会に変え地元をアピールしようと、すぐに動いた。

発表で伊賀市は、「忍者に関する施設をはじめ、素晴らしい観光名所がたくさんあります」と同市の見所を自賛。
観光協会のウェブサイトによると、日本中部にある伊賀市は初の忍者博物館に加え、
複数の忍者衣装レンタルショップがあり、観光客が手裏剣を投げたり吹き矢を吹いたりできる、
年に1度の忍者祭りもあるという。

「伊賀市では忍者の募集はしておりませんので、ご注意ください。
ただ伊賀市は『忍者市』。伊賀流忍者発祥の地です」と伊賀市は発表で伝えた。
「街中の随所で忍者の息吹を感じることができます。ぜひ伊賀市へお越しください」。

https://www.bbc.com/japanese/44976661