静岡市立静岡病院は10日、入院患者ら4人から多剤耐性アシネトバクター(MDRA)が検出され、2人が死亡したと発表した。亡くなった2人のうち、女性(81)の死因はMDRAが原因の肺炎。男性(78)の死因は敗血症で、発症後にMDRAは陰性化しており因果関係は不明。残る2人のうち1人は発症したが快方に向かい、もう1人は発症せず保菌状態という。

 同院によると、感染した4人はいずれも同じ重症治療室で治療を受けていた。感染源は死亡した男性で、5月3日、海外旅行中に敗血症などにかかった。台湾の病院から31日に同院に転院した際に重症治療室に収容されていた。

 同院によると、MDRAは接触感染が主。死亡した2人に使用していたたんを吸い取るための吸引瓶からMDRAが検出されており、同院は職員による医療処置やケアの過程で予防策が完璧ではなかった可能性があるとしている。

 宮下正病院長は「治療を受けている患者、ご家族など関係各位にご心配をおかけしたことをおわび申し上げたい」と謝罪した。

 多剤耐性アシネトバクターは、ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性菌の一つ。免疫力が弱っている場合などに感染症を引き起こす可能性がある。鹿児島大病院(鹿児島市)でも今月3日、患者15人からアシネトバクターなどが検出され8人が死亡したと発表している。
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