群馬県の防災ヘリコプター「はるな」が墜落した原因は何か。専門家は、今回のように登山道を上空から確認する目的の場合、稜線に沿ってはうような低空飛行が多いと指摘。天候の急変などで、衝突回避行動が間に合わなかった可能性があるとしている。

 はるなの機種は、米ベル・ヘリコプター・テキストロン社製の「ベル412EP」。北海道や福島県など全国の自治体や警察に採用される信頼性の高い機体だという。海上保安庁も現在運用する52機のヘリのうち4機を採用している。

 ただ、同機種のヘリは昨年3月、長野県松本市と岡谷市にまたがる鉢伏山(はちぶせやま)付近で墜落し、9人が死亡。また平成21年9月には、岐阜県高山市の奥穂高岳付近でも墜落事故があり、3人が死亡している。

 ベル412EPについて、航空評論家の青木謙知(よしとも)氏は「機体そのものに新たな欠陥が見つかるとは考えにくい」と説明する。

 墜落したヘリは山野を走る「トレイル」競技で使われる道を視察していたという。青木氏は「ものすごく危険な作業ではない」とした上で「細かく観察するには高度15〜30メートルまで降下する必要があり、一生懸命にやるうちに下げ過ぎてしまった可能性はある」と推測する。

 群馬県によると、ヘリはエンジンの不具合のため4〜6月に修理していた。ただ、青木氏は「不具合は何年かに1回はあるのが普通。修理や整備をすれば問題ない」と説明。平成9年の運用開始から20年以上がたち、総飛行時間が7千時間に達している点も「あと5年ぐらいは十分使える」との見方を示した。

 一方、現場の映像を見た元航空自衛隊航空事故調査部長の永冨信吉氏は「低いところで雲の動きが速く、急に視界不良になったのかもしれない」。元運輸安全委員会航空事故調査官の楠原(くすはら)利行氏は「台風一過で積乱雲ができやすい状況。冷たい空気が吹き下ろすダウンバーストが起きた可能性がある」と指摘。パイロットの健康状態や整備状況なども分析する必要があると述べた。

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2018.8.10 23:11
産経ニュース
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