ビッグデータを活用し、犯罪や事故発生を予測する取り組みが全国の警察で進められる中、福岡県警は、平成26年に壊滅作戦に着手した特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)から証人や情報提供者を守るため、組員らの行動パターンを基に襲撃の予兆を把握するシステムの開発を始めた。

普段と違う行動に着目

 北九州市では2000年前後から暴力団排除運動に関わる市民やあいさつ料を断った事業者を狙った事件が目立って発生。県警は平成26年9月、元漁協組合長射殺事件で同会トップの野村悟被告(71)ら上層部を逮捕した。野村被告は24年の元警部銃撃や25年の看護師襲撃、26年の歯科医襲撃などでも起訴され、上納金を巡る脱税事件では今年7月、実刑判決を受けた。

 県警は、脱税以外の公判が今後始まるのを見据え、証人らの保護対策を強める必要があると判断。自宅周辺をパトロールするだけでなく、ビッグデータ解析の専門家の協力を得て、襲撃を事前に把握するシステム開発を決めた。

 県警は、これまでの捜査で組員らが事件直前、車で襲撃場所の下見をするなど普段と違う行動を取っていることに着目。捜査員が尾行で確認した組員らの動向や車の使用状況といったデータをコンピューターで解析し、襲撃時期や地域が予測できるようにする。

 本年度中の開発を目指しており、実際の運用で襲撃予測が出た場合、警護担当の警察官が対応する。県警幹部は「正確な分析が短時間で可能になる」と自信を見せる。

犯罪・事故発生の予測システムは京都府警、新潟県警が開発

 犯罪や事故発生の予測システムは既に京都府警や新潟県警などが開発している。京都府警では過去10年分、10万件以上の街頭犯罪に関する情報を基に、発生時間帯や場所をコンピューターが予測。警察署に配備されたパソコンで捜査員が確認し、重点的にパトロールしている。

https://www.sankei.com/smp/west/news/180810/wst1808100099-s1.html