防衛省は2019年度予算の概算要求で、過去最大の約5兆4千億円を計上する方針を固めた。18年度当初予算より2千億円超の増額となる見通し。陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」導入や最新鋭戦闘機F35Aなど米国の高額装備品の購入費が全体を押し上げた。

 18年度当初予算は、5兆1911億円(米軍再編関係経費などを含む)で、概算要求段階で2千億円超の増額となる。第2次安倍政権が編成した13年度以降、6年連続で増え、来年度も過去最大更新は確実。北朝鮮情勢や中国の軍備増強に備える狙いだが、米朝が対話に進んでも路線を変更しない政権の姿勢が鮮明だ。政権は今年6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)でも「防衛力を大幅に強化する」と明記しており、この方針が反映された形だ。

 北朝鮮の弾道ミサイルに対応するイージス・アショアの取得に向けた経費が盛り込まれる。本体の取得経費は2基で約2679億円とされる。18年度に6機の取得費計785億円を計上したF35Aも19年度予算で追加購入する方向だ。

 防衛費膨張の背景には、高額な装備品を複数年度に分けて支払う「後年度負担」の累積がある。概算要求全体に占める割合が19年度は約4割の2兆円超となる見通し。米国製の装備品購入が原因で、トランプ大統領による「バイ・アメリカン(米国製品を買おう)」が今後拍車をかける可能性がある。後年度負担はあらかじめ支出が固定され、防衛予算の硬直化を招いている。(藤原慎一)

2018年8月10日05時04分
朝日新聞デジタル
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