東京電力福島第一原発の周辺地域で、これまでに稼働を再開した医療機関24か所のうち7割弱の経営が2017年度決算で赤字だったことが8日、分かった。被災地で働く医師や看護師らの人件費が高騰して経営を圧迫しており、国が億単位の交付金を支出して赤字を補填している。

 医療機関の経営状況は同日、福島市で開かれた福島県主催の検討会で示された。原発事故の避難指示などが出された12市町村のうち、現在稼働している病院や診療所、歯科診療所は31か所。原発事故前の3割にあたる。

 検討会では、このうち赤字補填の対象外となる企業内診療所など7か所を除いた医療機関についてまとめた。各機関の具体的な赤字額は明らかにしていない。

 今年4月に双葉郡で唯一の2次救急病院「ふたば医療センター付属病院」(富岡町)が開設された。この影響で、双葉地方広域圏の消防本部管内の救急搬送のうち60分以上かかった割合は47・1%となり、昨年に比べ17ポイント減った。

 検討会では、さらに救急医療体制の充実を図るため、医療用ヘリの運航を10月にも開始する方針が示された。同付属病院に常駐させ、ドクターヘリより緊急性の低い搬送などを担当する。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20180809-OYT1T50019.html