ゴールドマン起用巡る問題、マスク氏のフライングを裏付けか
Sridhar Natarajan、Alex Barinka
2018年8月15日 4:24 JST
更新日時 2018年8月15日 13:02 JST
→ゴールドマンやシルバー・レイクとの契約はまだだと関係者
→マスク氏の不規則ツイート発信に取締役会も対応に追われる
米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が同社の株式非公開化を検討しているとツイートして世間を驚かせてから1週間が経過した現在、気まぐれなマスク氏のこのツイートが時期尚早だったことを裏付ける証拠がそろいつつある。
事情に詳しい複数の関係者によれば、非公開化を検討中でそのための資金を確保したとするマスク氏のツイート時点で、ゴールドマン・サックス・グループはまだファイナンシャル・アドバイザーとして正式に指名されていなかった。またマスク氏は13日に、ゴールドマンおよびプライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社シルバー・レイクと共に取り組んでいるとツイートしたが、この時もまだ正式契約は結ばれていなかったという。
こうした問題以前に、自身の非公開化案のコメントでもマスク氏の行動は勇み足だった。取締役会はマスク氏のソーシャルメディアへの投稿から1日遅れで、もっと練られた文面を2回にわたって公表。テスラは14日、同社の非公開化案が妥当ないし実行可能かどうか取締役3人から成る特別委員会はまだ結論を出していないと警告した。マスク氏のツイートは複数の株主訴訟を招いているほか、米証券取引委員会(SEC)から調査を受けている。
元SEC弁護士で、法務コンサルティング会社グッディー・グループの創設者テレサ・グッディー氏は14日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューでマスク氏について、「彼には現在、優秀なアドバイザーが付いているので、もっと普通で通常のやり方で事態が進むことを望んでいる」と発言。マスク氏のやり方は「一般的なものではなく、株主に働き掛ける方法としては勧められない」と指摘した。
企業がファイナンシャル・アドバイザーと取り組んでいると発表する時は通常、正式な契約があることを示す。しかし、関係者らが匿名で明らかにしたところでは、マスク氏とゴールドマンなどとの話し合いは14日午前の段階でまだ続いている。
事情に詳しい関係者1人によると、シルバー・レイクはマスク氏の正式なファイナンシャル・アドバイザーとして仕事をしておらず、コンサルタント報酬も受け取っていない。マスク氏は、マイケル・デル氏によるデルの217億ドル(約2兆4200億円)でのレバレッジド・バイアウト(LBO)を通じた株式非公開化など、過去最大規模の案件を手掛けたシルバー・レイクの経験を活用したいと考えているという。
ゴールドマンの広報担当者はコメントを控えた。テスラとシルバー・レイクの担当者にもコメントを求めたが、返答は得られなかった。
原題:Goldman Sachs Is Said to Have Had No Mandate When Musk Tweeted(抜粋)
(識者のコメントなどを追加して更新します.)