千葉県弁護士会(拝師徳彦会長)は、依頼人の財産を隠して破産手続きを行うなどしたことが弁護士としての品位を失う非行に該当するとして、きさらぎ法律事務所(千葉市中央区)の中村礼奈弁護士(42)を3日から業務停止1カ月の懲戒処分にした。処分決定は8月31日。

 同会によると中村弁護士は2016年、依頼人の女性が離婚して姓が変わり、離婚の際に元夫から解決金100万円を受け取ったことを隠したまま、県内の裁判所で女性の破産手続きを行った。女性は自己破産し債務免責が決定したが、100万円を受領していたことを債権者が訴え、昨年4月に免責不許可となった。

 中村弁護士は同会に対し「依頼人が離婚したことを知られるのを望まなかった」と、現金受領と合わせて裁判所へ申告しなかった理由を説明した一方で、「混乱していてどうしたら良いのか分からなかった」とも話したという。

 女性の離婚調停も担当していた。100万円の一部は弁護士費用や女性の医療費に使われたとみられる。女性の債権者が昨年7月、中村弁護士に対する懲戒請求をしていた。

 記者会見した同会の拝師会長は「弁護士に対する信頼を裏切る行為で遺憾。関係者に大変なご迷惑を掛け、当会としても深くおわびいたします。会員に弁護士倫理の周知徹底を図り、再発防止に努めたい」とした。

千葉日報 2018年9月8日 05:00
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