台風21号で被災し、4日から使用不能になっていた関西空港第1ターミナル(T1)が14日、南側エリアで10日ぶりに営業を一部再開した。冠水した第1滑走路も運用を再開した。

 21日には停電が続く北側エリアも再開され、関空と対岸を結ぶJR西日本・南海電鉄の関西空港線も運転を始める見通しだ。南側車線が損壊し、バスや関係車両しか通行できない連絡橋道路や浸水した国際貨物地区を除き、ほぼ被災前の空港の姿が戻ることになる。損壊した南側車線の橋桁の撤去は14日中に完了する見通し。

 T1の再開後第1便は午前7時発の全日空羽田行き。6時ごろから利用客が2階チェックインカウンターへ搭乗手続きに訪れた。

 大阪府和泉市の大学4年井上颯人(はやと)さん(21)は知人と1泊の東京観光の予定。「飛ぶかどうか不安だった。運航が再開してくれて本当によかった。旅行を楽しみたい」。同府高石市の会社員女性(42)は友人と予定を合わせ、東京ディズニーリゾートへ。「欠航するのではと、大阪(伊丹)や神戸空港発の便も必死に調べた。昨日の夕方に航空会社から運航案内メールが来てとてもほっとしました」

 午前7時20分ごろにはドイツ・フランクフルトからT1再開後初の国際便が到着し、スーツケースを引いた観光客が次々と到着口から姿を現した。

 イタリア人のガブリエル・ロニグロさん(26)とジョージア・メゾゴリさん(22)夫妻は1週間前に結婚し、新婚旅行で来日。「イタリアでも日本の台風のニュースはたくさん流れていたので到着できてとてもうれしい」。ドイツ人の医師ヤコブ・フィステラーさん(58)は「飛行機から見たら滑走路は異常がなくて安心した」と話した。

 空港運営会社の関西エアポートによると、T1では14日、国際線79、国内線36の旅客便が発着する予定。7日から営業を再開している第2ターミナルと合わせると、通常ダイヤの40%超の便数になる。

 石井啓一国土交通相は14日の閣議後会見で、発着便の伊丹・神戸両空港への振り替えについて、「国際線の代替運航開始は未定だが、現在、航空各社の意向を確認している」と述べた。国際便の就航に必要な税関や出入国管理などの関係機関とも調整しているという。

 また菅義偉官房長官は同日の記者会見で、被災時の関西空港で外国人観光客らへの情報提供不足が指摘されていることに触れ、「空港をはじめとするあらゆる施設で、災害時でも外国人観光客に丁寧に接し、安心をして旅行していただけるようにしっかり取り組んでいきたい」と述べた。(大野正智、加戸靖史)

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2018年9月14日12時40分
朝日新聞デジタル
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