「細野くんにジャーマン・ロックのことを教えたことで、彼は僕が音楽に詳しいと勘違いしたんです。実際は彼が知らなかったことをたまたま僕が知っていただけなんですけどね。
で、彼が新しいグループを坂本龍一と高橋幸宏と結成するから、僕も入ってくれと頼まれました。
楽器なんて出来ないから、と断ったんだけど、演奏には参加しなくていいからと言われて、承諾したんです。
ステージには上がれないけど、ライヴで流す映像やビデオを作るとか、レコードのジャケットを作るとか、何らかの形で貢献できると思ってね」

「それで、結成記者会見をやるから、髪をテクノカットにしてくれと頼まれたんです。さらに記者会見には4人揃いのタキシードで出席して欲しいというから、高橋くんがデザイナーだったんで、彼にタキシードを作ってもらった。
でも、その当日は仕事の〆切がギリギリで、編集者さんがそばにいる状態なんです。「すぐもらえないと雑誌が出ない」って。どこかの週刊誌だったかな。で、僕はテクノカットでタキシードを着た状態でしゃかりきで仕事している(苦笑)。
それでとうとう、記者会見の時間に間に合わなくなってしまいました」

それが運命を大きく分けることになる。

「記者会見に出席せずに、途中から参加したみたいな形になるのは嫌だったんです。やるんだったら最初から、途中からだったらやらない、と思って、YMOには参加しないことにしました」

https://www.barks.jp/news/?id=1000088330