4年前の噴火で死者・行方不明者63人を出した御嶽山で、山頂付近の立ち入り規制が26日、一部で解除されました。
噴火後初めて山頂への登山が可能となり、噴火で亡くなった人の遺族などが訪れて犠牲者を悼みました。
平成26年に噴火した、長野と岐阜の県境にある御嶽山について、ふもとの自治体は火口付近からおおむね1キロの範囲で立ち入り規制を続けてきました。
このうち長野県木曽町は、山頂付近に再び噴火が起きた場合に避難できるシェルターを設置するなど安全対策が整ったとして、
26日午前10時半に山頂の「剣ヶ峰」につながる登山道の一部に限り、規制を解除しました。
噴火から27日で4年となるのを前に初めて山頂への登山が可能となり、遺族や行方不明者の家族らは午前11時ごろ、山頂付近に到着しました。
雲がかかって周囲の景色はほとんど見えませんでしたが、遺族らは目に涙を浮かべながら手を合わせ犠牲者を悼みました。
息子を亡くした浅井正子さんは、「息子に向かって『来たよ』と叫びました。何とも言えない気持ちになり、泣いてしまいました」と話していました。
慰霊碑の除幕が行われたあと、遺族らは噴火が起きた時刻の午前11時52分にあわせて黙とうをささげました。
噴火から4年がたち山頂への登山は可能になりましたが、突然の噴火の際に登山者をどのようにして迅速に避難させるかや、安全対策の実効性をどう高めていくのかが引き続き課題となっています。
■木曽町長「より安全な山にしていきたい」
木曽町の原久仁男町長は「徐々に安全施設が整いはじめ、規制も解除できて、節目の年となりました。犠牲になられた方々の命をむだにしないで、より安全な山にしていきたいです」と話していました。
■長野県知事「安全対策にも力を入れていきたい」
長野県の阿部知事は26日の記者会見で、「規制が緩和されたことは、噴火前の状態に戻りつつある一歩として、喜ばしいことと受け止めている」と述べました。
そのうえで、今後の課題として「木曽地域の観光客の伸びはまだまだ十分でないため、地域と連携して取り組んでいきたい。あわせて安全対策にも引き続き力を入れていきたい」と話していました。
■遺族「複雑な思いです」
4年前の噴火で義理の弟を亡くし、犠牲者の家族などで作る会の代表を務めるシャーロック英子さんは、山頂付近で、
「4年前のあの日と同じような空で複雑な思いです。山頂での慰霊は遺族が待ち続けていたことで、来年は別の登山ルートも規制解除になればいいなと思います」と話していました。
■観光業者「復興への大きな節目」
御嶽山の5合目付近にある御岳ロープウェイの駅では、26日朝早くから一般の登山客の姿も見られ、活気が戻っていました。
ロープウエーの運営会社の今孝志社長は「噴火以降の4年間、大変な時期を過ごしてきたので、規制解除はわれわれ観光業者にとって復興への大きな節目となります。
不測の事態があったときに対応できるように、今後も安全対策をしっかりと前に進めていきたいです」と話していました。
※動画あり
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180926/k10011644561000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001