外国に持ち出されそうだった1台しかないレア車。
 2018年の夏は台風、地震と立て続けに災害が日本を襲い多難な季節となってしまいました。もちろん、各地の自治体はこうした災害に対し、様々な備えをしています。愛知県の岡崎市消防局が運用する「レッドサラマンダー」は非常に有名ですが、過去、国産の履帯(いわゆるキャタピラー)式救難車輌も存在していました。

 それは静岡市消防局が保有していた「震災工作車」です。従来、東海地震の危険性が指摘されていたなかで、静岡市が、災害が起こった時に道路をふさぐガレキなどを撤去できる特殊用途の救助工作車として導入したもので、1輌だけ作られました。西日本豪雨や北海道胆振東部地震などの被災地の映像でも分かりますが、岩の混じった土砂崩れや倒木、壊れた建物、電柱、電線と道路をふさぐものは様々で、これらをいち早く片付けて応急的に道を通し、一刻も早く消防車や救急車などを被災地に送り込めるよう1台で作業できるようにと考えられたものです。

「震災工作車」は1996(平成8)年に静岡市消防局へ納入されましたが、2013年3月末日付けで耐用年数が経過して引退しました。普通であればここでスクラップとなってしまうのですが、世界でも1両しかないレア車ということで、これを保存しようと、払い下げの入札には静岡県御殿場市の自動車整備会社であるカマド社が応札しました。ところが、ロシア人が森林地帯で使いたいと代理人を通じて入札応募してきたそうで、貴重な車を海外に流出させてはなるまいと必死の競争入札になったそうです。レア車を探す外国人コレクターの意欲は旺盛で、その情報収集力には驚かされます。
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震災工作車の運転席。U字ハンドルで、オートマチック変速式
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前部ドーザーを上げた状態
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下げる
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動かすのに必要な鍵の束。左側の「左前ドア」と書かれたもののほか4本が各扉のキー。右側上が工作車の運転キー、右下がパワーショベルの運転キー
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