光合成によってエネルギーを生産すると考えられてきた微生物が、太陽の光が届かない地底深くから発見されました。
定説をくつがえす「ありえない」発見に、科学者からは驚きの声が上がっています。

シアノバクテリア(藍色細菌)は最古の生物の1つで、数十億年前から地球上に存在していることが確認されています。
シアノバクテリアは太陽の力を使って二酸化炭素を糧に成長して酸素を放出し、地球を酸素の豊富な惑星にするという大きな役割を果たしました。

2018年の時点で、シアノバクテリアは砂漠から海洋までさまざまな場所で発見されていますが、これまでに発見された場所はいずれも「太陽の光が当たる場所」でした。
太陽の光の届かない地底でシアノバクテリアが発見されたという報告には、多くの科学者が驚いています。

これが地底から持ち帰られたサンプル。
https://i.gzn.jp/img/2018/10/10/light-loving-bacteria/003.jpg

スペイン南西部のイベリア半島にある「イベリア黄鉄鉱帯」と呼ばれる地域の地下には豊かなエコシステムが存在するということは、これまでの調査で研究チームが報告していました。
2度目の調査で、これまで足を踏み入れなかった場所が調べられたところ、地下613メートルで研究者が予想していなかったシアノバクテリアが発見されたとのこと。

研究者が持ち帰ったサンプルの中でシアノバクテリアは最も多く存在した有機体だったそうです。
多くの場合、このような地底では目を持たないfanged crustaceanやBlind Cavefishなどが生息しています。

研究者がサンプルを調べたところ、地底に生息するシアノバクテリアは地上に生息するシアノバクテリアと生物学的にあまり違いはないことが判明。
ただし、エネルギーを生成するプロセスは異なり、地底のシアノバクテリアは光合成を行う構造を持ちません。

地底のシアノバクテリアの多くは水素が豊富な場所に集中していたことから、これらは水素電子を地底のさまざまな場所に運ぶことでエネルギーを得ているのではないかと研究者はみています。
遺伝子解析の結果、地底のシアノバクテリアの祖先は太陽光がほとんど届かないような洞窟の奥深くなどに存在した可能性が示されたとのこと。
研究者は今回の発見について「これまで知られていなかったシアノバクテリアの生態的地位は、彼らの起源と進化に関する研究への道を開きます」と語っており、「火星など地球以外の星で生物が存在できたのはなぜか」といった疑問点の理解の助けになるとしています。

https://gigazine.net/news/20181010-light-loving-bacteria/