江戸時代の街道、東海道と中山道の発着点で駅伝発祥の地としても知られる京都・三条大橋。鴨川にかかる橋の中で唯一、木製の欄干が残り歴史的価値が高いが、老朽化が進んでいる。改修には約4億円が必要と見込まれており、橋を管理する京都市は4月から「ふるさと納税」で寄付を募っているが、目標額の1%強にとどまっている。過熱する返礼品競争で、ふるさと納税の在り方が問われるなか、担当者は「国内だけでなく海外からも協力をお願いしたい」と呼びかけている。

三条大橋は全長74メートル、幅16メートル。昭和10年の洪水で流失し25年にかけ替えられた後、ヒノキ製の欄干のみ49年に新調された。

 欄干の飾りである14個の擬宝珠(ぎぼし)は、豊臣秀吉が天正18(1590)年に大改修を命じた当時のまま。そのうち2個には、幕末の池田屋事件でついたとされる刀傷も残っている。

 歴史的価値がある京都のシンボル的存在だが、最近は木のささくれや腐食が目立ち、市民からも改善を求める声が寄せられていた。

 こうした声を受け、市は改修を計画。欄干の取り換えだけでなく、歩道の整備も含めると改修費は約4億円の見込みという。橋の老朽化対策や耐震補強には国から補助金が出るが、緊急性などの面で他の主要な橋が優先されるため、市は三条大橋の改修費は一部をふるさと納税による寄付金で補うことに決めた。

 着工時期は未定だが、寄付の受け付けは4月から始まっており、目標金額は1億円。返礼品として、工事現場の見学会への優先招待や改修事業の進捗(しんちょく)を知らせるニュースレター送付などの特典を考案中だ。ただ、これまでに寄付者は19人、総額は125万円にとどまっている。

 ふるさと納税制度は平成20年に導入された。納税者が寄付先の自治体や使途を選択でき、29年には全国で計1730万件、過去最高の総額3653億円が寄付された。使途は教育・子育てや地域・産業振興、文化財保護など多岐にわたる。

 歴史的建造物などの修復をめぐっては、京都市はこれまで世界遺産・二条城(中京区)や祇園祭の山鉾(やまほこ)の修復費用などをふるさと納税で募った経緯がある。

 他県でも、築102年を迎える近江鉄道日野駅(滋賀県日野町)の木造駅舎は再生工事の費用7300万円の約4割が寄付で集まった。高知県四万十市は、国の重要文化的景観に選ばれている沈下橋の老朽化に伴う改修費用を募っている。

     


 三条大橋改修の寄付金の支払い方法はクレジットカード払いと口座振り込みの2種類。詳細は「だいすきっ!京都。寄付金」のホームページで確認できる。問い合わせは京都市橋りょう健全推進課

https://www.sankei.com/smp/west/news/181010/wst1810100017-s1.html