https://jp.reuters.com/article/foreign-reserves-idJPKCN1MK0Y2

ビジネス
2018年10月10日 / 11:24 / 10時間前更新
焦点:世界の外貨準備、ドル比率の低下止まらず トランプ不信の声も

[東京 10日 ロイター] - 世界各国の外貨準備に占めるドルの比率が、下がり続けている。依然62%と圧倒的な割合だが、米経済が「一人勝ち」とも呼べる好景気と高金利を示す中での低下には、各国が人民元などに通貨分散を進めていることに加え、トランプ政権に対する不信感があるとの見方も出ている。次の経済危機の際にも、マネーがドルに逃避するとは言い切れないかもしれない。

<初の6四半期連続低下>

国際通貨基金(IMF)によると、世界の外貨準備に占めるドルの比率は6四半期連続で低下し、今年6月末時点で62.25%と2013年末以来の低水準となった。6期連続の低下は四半期毎の統計が始まった1999年以来初めて。

理由の1つは、各国が進める通貨分散にある。ユーロの比率は20%付近でほぼ変わらないが、人民元は1.84%と2016年の計測開始以来の最高水準、円の比率も4.97%と16年ぶりの高水準となった。

「中国経済のプレゼンス拡大や一帯一路構想などを受けて、人民元の外貨準備組み入れが加速した可能性がある」とSMBC日興証券・チーフマーケットエコノミストの丸山義正氏は話す。

実際、欧州中央銀行(ECB)が昨年、米ドルの外貨準備の一部を人民元にシフトし、英中銀とスイス国立銀行は既に人民元建て資産を運用している。

<トランプ政権下で進むドル離れ>

トランプ政権に対する不信や不満が、ドル離れの大きな背景との指摘もある。

米カリフォルニア大のベンジャミン・コーエン教授(国際政治経済学)は、プロジェクト・シンジケート(国際NPO団体)への8月の投稿で「第2次世界大戦以来、今ほどドルの信認が揺らいだことはない」と指摘。

「同盟国を含むあらゆる国に次々とけんかを吹っかけ、従わなければ『炎と怒り』で報復すると脅しをかけるような国に、誰が好んでマネーを預けるのか。他により安全な投資先を探そうとするのではないか」──と同教授は言う。

ロシアはウクライナ危機を受けて制裁が始まった2014年から、米国債の保有を徐々に減らしてきたが、米大統領選への介入を理由に米財務省が4月に新たな経済制裁を決めてから大幅売却に踏み切った。外準で保有する米国債は、昨年末の1022億ドルから7月末には149億ドルと85%減少した。

欧州連合(EU)のユンケル委員長は9月12日、EUが輸入するエネルギーの大半がドル建てとなっているとし、「政治的意思」により、ユーロ建てを増やすことが可能だと考えていると述べた。また、米国がトランプ大統領の下で内向きに傾く中、EUはユーロの役割拡大に好機を見つけられるとも語った。

市場では「ユンケル氏の発言は、ユーロがすぐにも基軸通貨になるということでなく、ドルを持つ事のリスクやデメリットを真剣に考えようという呼びかけだとみている」(資産運用会社)との指摘が出ている。
(リンク先に続きあり)