朝日新聞 2018年10月11日11時21分

東京・築地市場では、11日から解体作業が始まった。83年の歴史を刻んだ市場がなくなることに伴い、近くのバス停の名称も変更される。
一方、目の前にある都営地下鉄の「築地市場駅」は今のところ、名称を変えないという。

仲卸業者らが移転し、朝のにぎわいが消えた旧築地市場。
その正門のバス停は「築地市場正門前」という名称だったが、11日からすぐ近くの病院名に合わせ、「国立がん研究センター前」に変更された。
都交通局は「市場がなくなり、実態に合わなくなった」と説明する。

一方で、来場者の最寄り駅だった都営地下鉄大江戸線「築地市場駅」は名称を変えない予定だ。2000年に開業し、1日に約3万3千人が利用。
都の担当者は「地元の人たちが慣れ親しんでいる。今のところ名称を変える予定はない」という。隣接する飲食店などが並ぶ「築地場外市場」が残ることも考慮しているという。

都や中央区によると、近くの交差点「中央市場前」「市場橋」や、市場正門に向かって走る区道「中央市場通り」も現時点で名称変更の予定はないという。

これに対して移転を喜ぶのが、東京・新橋と豊洲市場を結ぶ東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」の「市場前駅」だ。
移転決定後の06年に延伸開業してから、12年。駅前に建物はできても、市場として使われないまま。
利用者も少なかったが、ゆりかもめの担当者は「ようやく駅名と実態が合う」と歓迎している。(張守男)

豊洲市場の開場初日。築地市場内にはトラックや小型運搬車「ターレット」(ターレ)が走り回る姿はなく、暗闇と静寂に包まれていた=2018年10月11日午前4時46分、東京都中央区、恵原弘太郎撮影
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