10/12(金) 10:21配信 毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181012-00000030-mai-sctch
 ミントの香りには、近くの植物に害虫が消化不良を起こすたんぱく質を多く作らせる働きがあると、東京理科大の有村源一郎准教授(分子生態学)らの研究チームが米科学誌プラント・ジャーナル(電子版)に発表した。ミントと一緒に野菜を栽培すると虫による食害が減ることも確認した。低農薬栽培への応用が期待できるという。

 植物には香り成分の分泌によって個体間の情報をやり取りする仕組みがある。周囲の植物が害虫に食べられた時に出る香りを感知すると、虫が消化不良を起こすたんぱく質を多く作ることが有村准教授らの研究で既に判明している。ミントと一緒に植物を栽培すると害虫が寄りつかないことが知られており、研究チームはミントの香りに同様の効果があるかどうかを調べた。

 10種類のミントのそばでダイズを栽培したところ、ガの幼虫やダニなどが消化不良を起こすたんぱく質を作り出すRNA(リボ核酸)の量が、キャンディーミントで3.4倍、ペパーミントで2.9倍になった。野外栽培では、キャンディーミントのそばで育てたダイズは、そうでないダイズと比べ食害率を半分に抑えられた。

 コマツナでも同様の効果が確認された。ダイズもコマツナも、ミントとの距離が近いほど食害が少なかった。

 植物がどのように香りを感知しているのかは、まだ分かっていないという。有村准教授は「ミントの香りで防御力が高まるのは不思議な現象だ。新しい栽培方法につなげたい」と話す。【伊藤奈々恵】