9月に京都市南区の桂川の新久世橋から飛び降り自殺を図ろうとした60代女性に話しかけ、思いとどまらせたとして、京都府警南署が9日、大学生の豊田花梨さん(19)=城陽市=と会社員の豊田隆真さん(20)=京都市伏見区=に感謝状を贈った。カップルの2人が車で移動中に女性を見つけ、不審に思い声をかけたという。【国本ようこ】

9月9日午前2時40分ごろ、2人が車で新久世橋を西へ走行中、運転していた隆真さんが、欄干の上に腰掛けていた女性を見かけた。一度は通り過ぎたが、「深夜に1人で橋の上に立っているのはおかしい」と思ってUターン。女性の横で停車し、車の窓を開けて花梨さんが声をかけた。

 「早まったらあかんで」との呼びかけに当初は応答が無く、花梨さんが1分ほど声をかけ続けた一方、隆真さんが110番し、南署員の到着を待った。国土交通省淀川河川事務所によると、最寄りの桂水位観測所で9日未明の桂川の水位は、4日の台風21号やその後の雨の影響で通常の1.8メートルから2.65メートルに増水していた。

 女性は「生きてても意味がない。しんどいことばっかりやし」などと話していたが、花梨さんの「そんなことない」との呼びかけに応じて欄干から歩道に降りた。車から降りた花梨さんは涙を流す女性を抱きしめ、ほっとして自分も泣き出した。人間関係に悩んでいたという女性の話を聞き「何かあったら電話かけてきいや」と連絡先を伝えた。翌朝に女性から電話があり、落ち着いた様子で「もう大丈夫」と話していたという。

 棚上達夫署長から感謝状を受け取った花梨さんは「助けなくてはという一心だった」、隆真さんは「救えて良かった」と話した。

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