長文ですが大事な事なので。
給料の上昇では生活の豊かさや景気の良しあしは分かりません。なぜなら、
給料が増えても、税金が増えて差し引かれるお金が増えたり、
物の価格の上昇スピードのほうが速かったら、生活は苦しくなるからです。
なので、実際の景気や生活感をみるには、「実質可処分所得」をみる必要があります。

実質可処分所得とは、
「税金や社会保険などをひいたあとの実際に使える所得」
 を 
「街中にある品物の物価の上昇度」 で割った値です。
(物価上昇度の具体的数値は「PCEコアデフレーター」を用いるのが適切です)

実質可処分所得なら、
給料が上がっても、
税金や社会保険料が高くなれば減るし、
物の値段が高くなっても減るので、
実際に国民が体感する景気と連動するわけです。

では日本の実質可処分所得はどうなっているかというと、次の通りです。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-02-21/2016022101_03_1.jpg
1997年から減り始めて、現在は30年前の生活水準です。
文明が発達した分、30年前より便利で快適になりましたが、
国民の豊かさは30年前の日本と同じレベルでまったく成長できなかったわけです。

その原因は何か、
30年間分の日本人の労働はどこに消えたのかというと、
実質可処分所得を構成する給料、税金や社会保障費、物価を個別にみていくと、
給料自体はほぼ変わらず、ここ数年は微増、
しかし、
税金や社会保障費が急増、物価も上昇したので、実質可処分所得が減っているわけです。

では税金と社会保障費の負担を大きくしている理由はなにかというと、
1、無駄な医療による健康保険が無駄に使われて国民負担となること
2、諸外国の2倍以上になっている公務員の人件費が毎年増大していること。
(公務員の給与が上がることで所得が増えるから実質可処分所得も上がるってことはありません。
 国民全体の所得が増えるわけではないので。公務員人件費アップは国民にとっては税負担となって帰ってきます。
 国民全体からすると所得の増大より、所得から差し引かれる税金の増大量のほうが大きくなる。
 得をしているのは公務員だけで、それを国民全体が税金で支えるという不公平が生まれています。
 公務員の給料のアップは国民の実質可処分所得を下げる原因です。)
3、タックスヘイブンへの資金移動により、
日本政府へ税金となって入ってくるべき資金が毎年数千億も消えて行ってること。
4、外国人労働者や研修生として入ってきている実質的な移民に対しての社会保障費や税金面の優遇
などが大きな原因です。

そして今度は所得の側を見ると、日本人の所得が増えない理由は、
1、研修生や外国人労働者というていでの移民政策により、
労働者の所得そのものが低く抑えられたまま向上しないこと。
2、企業から労働者に直接所得が支払われなく派遣業者により中抜きされるようになったので、
労働者の受け取る所得が減り、その割合は年々増え、現在は非正規が4割以上にもなってしまったこと。
3、企業の業績は過去最高益であるにもかかわらず、労働者には還元されずに内部留保されたままであること。
4、タックスヘイブンに企業の資金が移され、日本から消えていること。
などが大きな原因です。

つづきます。