築地周辺で暮らす猫
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都の委託を受け中央区が保護 晴海に保護施設

 解体工事が始まった旧築地市場(東京都中央区)には長年、野良猫がすみ着いてきた。魚やネズミなど好物が豊富にあったためで、市場移転を前に、約20匹が都の委託を受けた動物愛護団体に保護されて引っ越した。区が来年4月までに保護施設を整備し、猫はそこに移って、引き取り手が見つかるのを待つ。

 都などによると、10年ほど前には市場内に100匹以上の猫がいたという。保護と去勢手術で年々減ってきたが、解体工事に巻き込まれる危険もあり、本格的な保護作戦を実施した。

 作戦の準備は2年ほど前から秘密裏に進められた。エサに困らない市場に猫を捨てる人が絶えず、作戦が表に出るとさらに増える可能性があったからだ。昨年には一度に母子7匹が捨てられたこともあった。

 担当職員らは、巡回時に目撃した猫の特徴▽時間と場所▽餌付けをしている人の有無−−などを記録し、「茶トラの子」「白いでっかいやつ」などと名付けて「場内ネコ生息マップ」を作製。今春から、愛護団体がマップを参考に捕獲器を設置するなどして保護した。

 最後に保護した猫が見つかったのは市場の営業終了3日前の今月3日午後3時半ごろ。職員は「めったに見かけず『幻』と名付けていた。保護できてよかった」と胸をなで下ろした。

 区は市場にいた猫のために臨時保護施設(鉄骨造り平屋建て2棟、計約30平方メートル)を区立晴海臨海公園内に整備し、愛護団体がそこで引き取り手を探す。整備費として電気や上下水道などのインフラ工事も含め約5600万円を見込む。

 一方、旧市場の隣接地で営業を続ける商店街「築地場外市場」の路地裏にも野良猫がいる。「くうちゃん」と呼ばれる雄の黒猫は人を恐れず、観光客の人気者。80年以上続く珍味店を経営する北村公子さん(80)は「くうちゃんには引き続き『築地』の看板猫でいてほしい」と目を細めた。【高橋昌紀】

毎日新聞2018年10月25日 11時24分(最終更新 10月25日 13時35分)
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