中国を公式訪問中の安倍晋三首相は26日、習近平国家主席と北京市の釣魚台国賓館で会談し、新たな日中関係構築に向け「競争から協調へ」「脅威ではなくパートナー」「自由で公正な貿易体制の発展」との新たな3原則を確認した。
安倍首相は中国でスパイ活動に関与したなどとして邦人が拘束されている問題を提起。
李克強首相との会談ではウイグル族への弾圧などを念頭に「中国国内の人権状況について日本を含む国際社会が注視している」と述べた。

安倍首相は習氏に「私の訪問を契機に競争から協調へ日中関係を新しい時代へと押し上げていきたい。日中はパートナーであり、互いに脅威とはならない。自由で公正な貿易体制を発展、進化させていかなければならない」と述べた。
さらに「こうした原則のもとに地域や世界の平和と安定のため力を合わせて貢献していきたい」と語った。

習氏は「中日関係が正常な軌道に戻った」との認識を示し、「新たな発展ができるよう推し進めていく必要がある」と述べた。
安倍首相は習氏に来年の訪日を求め、習氏は「真剣に検討したい」と述べた。
安倍首相は2年後の東京五輪開会式出席も要請した。

安倍首相は、拘束されている邦人について前向きな対応を求め、習氏は「中国国内の法令に基づき適切に対処する」と説明した。
安倍首相は尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる問題を念頭に状況改善を要求した。

また、北朝鮮の非核化に向けた連携を確認。
安倍首相は北朝鮮の日本人拉致問題を取り上げ、習氏は「理解し、支持する」と述べた。
習氏は東京電力福島第1原発事故後も続く日本産食品の輸入規制の緩和について「積極的に考えたい」と語った。

日中両首相の会談では、今後5年間で3万人規模の青少年の相互訪問や交流を実施することなどで一致した。
両国は金融危機時に互いの通貨を融通し合う通貨スワップ(交換)協定を中央銀行間で締結した。
6月に運用を開始した防衛当局者間の海空連絡メカニズムに関し、年内の会合開催やホットラインの早期設置も確認した。

https://www.sankei.com/politics/news/181026/plt1810260048-n1.html