米政治や中間選挙などについて語る(左から)エマ・サラスさん、アシュリー・スチュワートさん、マイカ・イトウさん、コナー・バースさん、マット・ボージャーさん=米バージニア州で(石川智規撮影)
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米大統領選と中間選挙での若者の投票率
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 トランプ米大統領の初の全国的な審判となる中間選挙が六日、行われる。強硬な移民政策や国際社会から背を向ける「自国第一」の政策が相次ぐ中、若者たちは政治の現状をどう受け止め、どんな一票を投じようとしているのか。選挙に必ず行くという首都ワシントン近郊ジョージメーソン大の学生五人に語ってもらった。 (ワシントン・石川智規)

 −トランプ大統領をどう評価しますか。

 コナー・バースさん(18) 大統領は経済政策で成功を収めていると思う。結果は株価に出ている。他の政党だったらここまで良くなかったと思うよ。けど、大統領らしくない言動と振る舞いは好きじゃない。彼の政策は支持するけど、彼自身を支持はしない。

 マット・ボージャーさん(20) 共和党が上下両院で多数を押さえているから減税政策が実現できた。株価が上がり多くの人に含み益が出ているのは良いことだ。でも、家族を分断させるような移民政策には反対する。米国が大きく二極化してしまったのは残念。

 エマ・サラスさん(18) 私の祖母は書類がそろわないまま入国し、この政権では不法移民とみなされている。でも、どんな人間にだって生まれながらに持つ権利がある。人権をないがしろにする彼の移民政策は恐ろしい。私自身のルーツを脅かされている気がする。

 アシュリー・スチュワートさん(19) 医療保険政策にだって問題がある。彼の政策は基本的に弱者への配慮がなさすぎる。環境問題もないがしろ。国内政策も対外政策もばかげたものばかり。国際社会から笑われて恥ずかしい。

 マイカ・イトウさん(18) 彼の存在によって、あらゆる政策が右翼的になっているように感じる。性的少数者(LGBT)の権利や多様性も軽視されていて、とても問題だと思う。私は彼のことを到底良いとは言えない。

 −投票に行きますか。

 全員 もちろん。

 −何を基準に投票先を決めますか。投票の意義をどう考えますか。

 マットさん 今のアメリカは過度に両極。共和党も民主党もそれぞれやりたいことだけをやり、自分の城にこもっている。医療問題など命にかかわる政策は超党派で取り組むべきだ。

 コナーさん 僕は政治的に保守派だけど、政府は可能な限り党派を超えた視点で政策を決めるべきだ。バランスのある政策を実現できる人が必要だ。

 マイカさん 極端な政治はアメリカだけじゃなくて世界各国にも共通している。リベラルな思想や政策がどんどん右に偏ってしまっている。人々の考えとは違う方向に行っている気がするし、皆にとって不利益なことなんじゃないかな。

 エマさん 私は自分たちが望む政策を実現してもらうために声を上げることが必要だと思う。銃規制問題は今までちっとも進まなかったけど、フロリダ州の高校で二月にあった銃乱射事件後に若者たちが声を上げ、影響を与え始めた。私は私の意思を実現するために投票する。

 アシュリーさん そう、どんな選挙も大切だし、物事をより良くする可能性を秘めている。投票に行かなければ政策を批判できないから。投票は私たちの声そのもの。投票で私たちの考えを表現するべきだわ。

◆4割が「間違いなく投票」 ハーバード大調査

 2018年中間選挙では若者の投票率が上昇する可能性がある。米ハーバード大公共政策大学院が10月30日に発表した調査によると、18〜29歳の若者の40%が今回「間違いなく投票する」と回答した。

 党派別では、民主支持者の54%、共和支持者の43%が「投票する」と答えた。若者は相対的に民主支持が多いとされ、実際に投票すればトランプ氏と共和に逆風となる可能性もある。

 米国の若者の投票率は伝統的に低く、特に中間選挙では低迷する傾向にある。

 米国勢調査局によると、近年の中間選挙で若者の投票率が最も高かったのは1986年と94年の21%。直近の2014年は19.9%だった。14年の30歳以上の投票率は47.9%だった。

東京新聞 2018年11月5日
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